座談会

「新しい大梅田の実現に向けて」

パネリスト

進行

■経過説明

(岡村)

 今回のプロジェクト研究は前回2月19日に第1回を、そして本日、第1回を受けて完結編として開催。第1回のおさらいを簡単にすると、

■座談会

(岡村)
 個別講演、基調講演のご感想や、付け加えることをお話いただきたい。

(村橋)
 岩本さんから大阪駅周辺整備方針について総括的なお話があったが、ポイントを2点お話しさせて頂く。大梅田の空間概念の捉え方が今まで我々が議論していたものと違うのでアっと思った。

●「4つのエリアと4つのビレッジ」

 時間があれば議論して欲しいが、「4つのエリアと4つのビレッジ」という言い方で、ダイヤモンド地区、西梅田、茶屋町、北ヤードの4つのエリアはJR大阪駅近傍のエリアで、それぞれ個性のある開発を進めてきた。その外側に4つのビレッジと言う言い方で中津、野田、北新地、中崎を出されている。これまで大梅田周辺は4つのエリアと4つのビレッジを一緒にして、大きく4つか5つに分けられると考えてきた。ビレッジと言うモノの見方で、大梅田のもう一つ外側の地域、居住系も入っているし、商業やほかの機能も混在している当該地域をこのように見ていくことはある意味では新鮮であるが、今後、このような議論をしていく上でいつまで議論のポイントに置いておく必要があるのか、将来のあり方を議論するときの空間の概念の捉え方をもう少し突っ込んだ議論ができないかと思う。

●大梅田が社会的、経済的、文化的にも活力を持っていくため3つのポイント

 もう一つは、本日は本来の議論するわけではないが、東日本大震災に対する関西の取組みと言うことで、今後、大梅田が社会的、経済的、文化的にも活力を持っていくために岩本さんは3つのことを指摘されている。一つは国内・国際交通の拠点としての役割、二つ目は研究開発、生産・物流拠点としての拠点。もう一つは都心機能。国土交通省の先輩で、もう亡くなられた依田和 夫さんがつねづね「日本の都心を形成するには3つの要素がある。それは足と土地と魅力である。」と言われた。私も今そう言う思いであるが、具体的には足とは交通、土地とは空間、場所であり北ヤードのように新しく開発する所。問題は3つ目の魅力で、都心として企業や人を惹きつけるため、どう言う力を持たしたらよいか、非常に悩ましい所である。岩本さんの話では研究開発、生産物流拠点と言う生産系のものと都心機能がこれにあたるが、もう少し突っ込んで議論ができないかと思う。つまり立地施設・機能として、都心である大梅田にどう言う魅力を持たせるものを考えていったら良いか、先程の神田さんのお話にも関係してくるが、コンパクトシティでの中心市街地の役割にも繋がるので、特に強調して議論頂けないか、と思う。

●まちを誰が魅力的にプロデュースし、マネージメントしていくか

(神田)
 私も村橋先生と同じところに反応した。上村さんのお話にあったNU茶屋町は行ったことはないが、映像を見て常日頃考えていることと同じだなと感じた。これまでの都市開発は床を作ってきたが、まちを作らなければならない。まちを誰が魅力的にプロデュースし、マネジメントしていくかが重要になって来ている。その意味で4つのビレッジはそういう所で学んでいくということであろうし、4つのビレッジを活かす意味でも、ビルだけでは出てこない魅力を誰が出すのか、エリアマネジメントとか新しい主体の方が活躍する場作りが一層必要ではないか。

(星野)
 昭和62年のJR西日本発足時に建設部門にいたが、経営理念を考えなければならないと言うことで「まちから駅へ」と言うコンセプトを打ち出した。実際の所、駅はどういうことになるかと思っていた 。今回、大阪駅はハードとしては変わったものができたが、これかたは、公共空間の魅力をどれだけ付けていくのかソフト戦略が大事だと思う。 国鉄改革がどうして生じたか? 産業構造が変わって貨物がダメになったのも一因。そのため西梅田、北ヤードが空いてきた。北ヤードを開発するためにその機能を吹田・百済に移すにあたり、大変な苦労があった。今日も清算事業団の 増田元支社長が来られているが、大阪府・市、吹田市を含めたこのような人たちの苦労を記憶しなければならないし、今後この停滞した世の中を変えていくヒントがあるのではないか、と思う。

●人口減をどう捉えるか

(平峯)
 前回の座談会で気になっていたのは、大梅田の開発を、神田さんの言葉を借りれば需要追随的にやってきたが、人口減をどう捉えるか、人口減と生活の仕方、活動の仕方がどう変化していくか、これをある程度見通しておかなければ、これからの開発に対応できないだろうと思っていた。今日の神田さんのお話を聞いて、やはりまともな議論がなされるべきだと思った。関西においても都市計画、社会動向としての人口減、人口の構造が変わってくることを十分議論すべきである、と思ったのが1点。

●都市的なもの

 それから、5月4日に大阪駅が新しくなり、広場空間が大きく見える。これまではダイヤモンド地下街は地下街の空間であったし、松下陸橋は単に歩道橋であったが、大阪駅には都市計画として一番必要な都市的なものが出来た、と思っている。その空間を北側の開発にどう活かしていくか?公園ではなく、いろんな世代の人が集え、使える空間をどう作っていくかを考える必要があろう。最後に、岩本さんの指摘されたビレッジであるが、各所でそのようなあり方が出てきていると実感している。多様な住み方があり、日本の伝統的な空間が集まった村に帰属するようなものが重要になってくる。今後の人口減社会における住い方、集い方の一つとして、このような残された空間をどう活用していくか、大変重要だと思っていた。

(岡村)
 4人の方のお話を聞いて、問題意識は共通していると感じた。JR大阪駅にまさしく都市的なものが出来たと平峯さんが言われたが、 それはへそになる交流空間が新しく出来たことと思う。一方、岩本さんのビレッジはそこからだいぶ距離的に離れている。大梅田を考える上で空間の捉え方をどうすれば良いのか?もう少し議論したい。都市整備をする人間がやらなければならないこと、役割を含めて、どう考えればよいか?

●都心機能とは?

(神田)
 東京と比較すると、東京は新宿や丸の内ではビル群があり、その周辺に歌舞伎町とか銀座の界隈空間があり、その外側の居住空間がある。渋谷のまちづくりに係わっているが、 将来渋谷という谷の街に六本木ヒルズ並みのビルが4棟ほど出来る。渋谷の良さを消すのではないかと言う議論もあるが、中心にどかんとビルが出来、その周辺に界隈ゾーンがあり文化の発信がある。少し離れて居住空間、例えば、代官山とか猿楽町とかの魅力的なゾーンがあり、そこの小ぶりなマンションに住んでいる人が面白い情報発信をし、その外側に高級かどうかは別として、戸建の住宅地がある。そのようなまちの作り込みが自然に出来てくるのだと思う。 都心機能はやはり業務床で、成長戦略的に言うと国際空港から都心まで時間のリスクなしに直結出来るかが重要である。業務としての中心性を持つと同時に、その周辺の受けがあり、その外側に住宅地がある構造をどうしていくのかが重要である。行政がやりすぎ てはいけない部分でもあるので、いろんな方々と喧々諤々議論をしていかなければならない時代になって来るのではないかと思っている。

●人の動きは老若男女でどう変わるのか?

(岡村)
 上村さんから路面の動きがでてきたと言う話があった。茶屋町で路面型のまちづくりが出てきて、茶屋町から中崎町や中津に広がっているが、このようなビレッジに行こうとすれば路面でつなぐ必要がある。

(平峯)
 我々は、茶屋町は歩きにくいし面白くないが、大勢の若い人が歩いている。茶屋町は高層ビルではなく、入り込んだまちである。北新地はあのままの姿で残っていく。そうすると、御堂筋の高層ビルとどう棲み分けるか?棲み分けの仕方、人の動きは老若男女でどう変わるのか? 私の先輩は80歳を超えても買い物は梅田に出てくるが、どこに魅了を感じ、楽しんでいるのかを解き明かさないと都市計画の空間計画は作れない。大阪駅の上の広場に加え、北側に大きな広場空間を作れば、それが各エリアを繋いでいくと言うのは普通の都市計画として書ける。そこでの行動パターンが判れば、大梅田の魅力が相当変わってくるのではないか?それがコンセプトになるのではないかと言う感じがする。

(星野)
 大阪の場合、地下街があれだけ発達し、ビルで壁ができ、ストリート性がないので短期的には路面型のまちづくりは無理と思う。大阪駅にせっかくあのような空間が出来たので、これをスタートにオープンスペースなりネットワーク作りをやって欲しい。これを解決しようとすれば、神田さんが紹介された大都市のコンパクトシティを実行していくことではないか。ヨーロッパのまちは商業空間より公共空間が多いほど都市としての格があるが、日本はアメリカのように商業空間を重視してやって来て、そこにたまたまオープンスペースがあった。われわれの時代はそれでも良かったかもしれないが、次世代の人が歩ける街を重視するのであれば、ネットワークが重要になる。これまで地下街・地下道が多かったが、大阪駅も上の方に通路ができ、見晴らしが良いで、これを北ヤードでも整備すれば良いのではないか。 とにかく車が多いので、村橋先生も言われたように車をどうにかしなければ議論が進まない。

●大阪駅周辺なんメーター内、車は一切入れない空間を

(岡村)
  地下街をどう見るのか、と言うことになる。村橋先生如何でしょうか。

(村橋)
 星野さんが言われたことについて、同じ思いであるところと、ちょっと違うところを申し上げる。 我国はどちらかと言うと商業空間重視型で来ていたが、欧州型というか公共空間に着目し、人々が貯まる場所をまちの中心にしっかりと作っていくきっかけが今回のJR大阪駅の作り込みであったと思う。その流れは良いと思うが、それに付け加えて、今の大阪駅周辺は様々なエリア・ビレッジを人々が快適に移動できる担保が取れているかというと残念ながらそうなっていない。地下ネットワークがあると言いながら非常に分かりにくいと批判がある。地上は車との錯綜がある。デッキも徐々に整備されつつあるが、各エリアの繋がりがないのが現状である。前回も申し上げたが、一層のこと、大阪駅周辺なんメーター内、車は一切入れませんくらいのコンセプトを始めに出して、基本的には人の空間であるとの打出しをやったほうがよいと思う。そのような公共空間や民間空間が自由に使える空間として広く開放されている、まさにうめ北の1期のような作り方を他でも行なっていけば良いのではないか。 ハード面だけでなく、ソフト面としてTMOのようなエリアマネージメントが必要で、まさに今、うめ北鉄道3社とコンソーッシアムを組み、いろんなイベントを実施しているが、各地区の特色を持ちつつエリア全体を盛り上げ、地域の魅力を高めていく運営管理が重要で、人々や企業を惹きつける大きなチャンスになる。

●リーダーシップ

(平峯)
 
歩く空間を作る、あるいは作ると宣言することは重要なことで、それが出来ればうまく行くと判っているが、それを富山の市長が全国で初めて宣言した。政治家として、首長としてのリーダーシップを誰が発案するか?大阪でやろうとすると強烈な力がいる。若い橋下知事はなんでも言って問題も起こすが、それに頼りたがる面もある。都市計画をやっている人間としてはむつかしい話で、政治家に頼らざるを得ないとなると、出来る方向がなくなっているような気がするが、どうであろうか?

(神田)
 レベルの高い悩みであるが。 セントラムという黒い電車に人がたくさん集まっている写真があり、トランジトモールのように見える。都市整備の関係者は喜んでいるが、警察は2度とさせないと頑なな姿勢である。北陸新幹線が4年弱で来るが、それに合せて連続立体事業をやっており、あと7年くらいで駅が完成する。その時に北側のライトレールと南側のセントラムを繋ぎ、相互乗り入れをしたいと考えている。そうすると、新幹線の改札を出たら、目の前に先程のカッコ良い車両がいる。富山の森市長はリーダーシップもあり表現もうまいが、そのための警察の協力がいるため刺激したくない、と言う思いがある。 何を実現していくのか、それに向けてどう言う戦略で政治的決断が必要になるか、これは地域地域で違う。富山市は人口42万の都市なので、強力な方がいればなんとかなるが、大阪では同じことは出来ない。逆に言えば、森市長級の人が何人か居るのではないかと期待しているが、そのような知恵や馬力のある人がいろんな活動 をすることが新しい公共だと思う。お互いが触発、あるいは弾けることが都市の活力に繋がっていくと思う。どちらが大所高所に立ってみんなのことを考えているかで説得力が出てくる。そのような文化が出てくれば大阪の可能性がバージョンアップするのではないか、と思う。

(岡村)
 この段階で一度議論を整理しておきたい。一つは岩本さんのお話に出てきたビレッジについて。周辺のビレッジ的な所が都市の魅力になり、多様性に繋がっていくが、行政がやりすぎるのは良くなく、新しい公共と言われるエリアマネージメント がされる、ということ。そのためにはキメの細かい調査が必要である。 もう一つはそのためにどうするかと言うこと。大阪は富山市とは同列で議論できないので、どのようなコンセプトなり共通認識で合意形成を図っていくかと言うところで、皆のためにと考える人が出てくる必要がある。 前回の座談会では、梅田には比較的長いスパンで考えることの出来る鉄道3社があり、まちづくりをリードする大学人の役割が提示されていた。その辺りは神田さんのご意見は?

●まちづくりをリードする担い手

(神田)
  自分の最適を追求し続けると、長い時間的スパンでは自分の最適になっているかどうか判らない。みんなが良くなることでその一部の自分がもっとよくなるという考え方が必要である。そうするとサステナブルになって来る。その意味で、阪急阪神ホールディングスになって二つの会社が一緒になって梅田を核にしようとするのは素晴らしいことだと思う。 阪神百貨店の地下は大変な人出で驚いたが、デパ地下が流行るということはその近くに公共交通で移動できる人が沢山いるということで、歩いて楽しく暮らせるまちになる可能性を見出した。そのためには阪急阪神だけが儲かるのではなく、全体が良くなる仕組みをどういう枠組みで進めていくかが重要である。

●歩行者ネットワークと地下街

(岡村)
 歩くまちと言うことで、星野さんから定期券の使い方で回遊性を高めるとのお話があったが、ハード、ソフトで回遊性を高める議論が村橋先生の駅周辺の歩行者空間化に繋がると思う。そのような仕組みを作っていかなければと思う。 歩く快適性を考えた場合まだ大梅田には地上部にそのような空間がない。地下のネットワークは発達しているが、地下街をどう考えるのか?

(平峯)
 ダイヤモンド地下街は地下街としては大変成功した事例だと思うが、次のステージはその延長上で考えてはいけないと常々思っている。北側は大屋根を使ってどうするかを考えれば、これまでのものと違うものができると思う。梅田、大梅田が歩行者とか回遊区間に特化していると言うイメージを出せば、大きなプラスの戦略になると思う。全国的にどのような駅前が評価されているのか?鉄道会社が百貨店競争とかで負けたら困るということで新しいソフトのイメージ戦略を打出してきている。その部分からも新しいものが出てくる気がする。最初、床が出来すぎて困ると心配していたが、困った時に鉄道会社などがどういうイメージ戦略で行くかを考えて、非常に良いものができるのではないか?大阪駅の大屋根は素晴らしいもので、ここ5年くらいのうちに戦略的な成功事例が出てくるのではないか?

(神田)
 
地下街については静岡のゴールデン地下街の火事以降に建設省の都市計画課で通達を出したが、昨今、通達行政はいかんと言うことで通達が廃止になり、現在は所管するところがない状態になっている。一方、地方都市でどうなっているかというと、福岡市では魅力的な地下街のネットワークを作って来ている。札幌市では1年のうち半分冬で地下街が良い。札幌には丸田理事がいて官地と民地の境界処理をうまくやり、歩いている人には全く判らなくなっている。消防法上の課題は残るが、兼用工作物としてうまく作っている。横のつながりと同時に上下のつながりも重要で、渋谷の計画ではエレベーター、エスカレーターが集まる所をアーバンコアと呼んでいる。最初は違和感があったが、地下でスムーズに上下の移動が出来るのは非常に重要である。もう一つサンクンと言うか、地下であるが空が見える空間をうまく活用する試みも出てきている。いろんなところを学びながらやっていくと知恵が出る段階に来ている。国に担当部局がないということはむしろいろんな情報発信をすれば面白いのではないか?

●広場学

(星野)
 我々の時代は道路とか線路を作る仕事が多かったが、これからは若い人たちの感覚も違ってくるし、お年寄りも増える。そのため、一休みの空間が必要であり、それを意識して行ったのが本屋のジュンク堂。昔から不思議なものでオープンスペース学とか広場学がなかったが、あっても良いのではないか。広場学で博士号をお取りなったのは一人くらいおられるかもしれないが、体系的に考える必要がある。具体的にはJR大阪駅のノースゲートビルの上の広場ではおじちゃん、おばちゃんが木製の椅子で憩っている。木製の椅子はJR九州の列車のデザインをしている水戸岡さんがアドバイスされたものだが、このようなところから実践的にやっていけばどうか。魅力的な施設とオープンスペースがあれば、そこに行って 憩えるので少々行きにくくても行けるのではないか。若い人にはオープンスペース学とか広場学を学んで欲しい。

(岡村)
 広場学、公共空間学について村橋先生如何でしょうか?

(村橋)
 考え方は賛成で、もう一つ付け加える。昨日、学生と空が見えない場所は良くないな、と話していたが、大阪駅の駅前に立ち360°見渡すと今や100mをはるかに超える建物が林立し始めている。唯一、今残っているのは中央郵便局であるが、いずれ建て替えられる。そうすると360°超高層ビルで囲われた駅前広場になり、もの凄い閉塞感がある。広場の議論は人々がゆったりとした空間を感じるような場所を持つことと、空が見えることが大きな要素ではないかと思う。残念ながら、そこが東京駅と大阪駅との決定的な違いであり、大阪駅周辺についての将来の建て替え計画のコンセプトを市が中心に持っているが、今のビルの作り方でよかったのかどうか?次の世代がどう見るかと言う目を養っておくことが必要であろうと思う。 広場は人々が散策してゆっくりして行く空間で、神田さんが言われた健康、医療福祉のまちを実態に沿って作っていこうとする発想と繋がるが、その時、地下空間では閉塞感があり、外の広場、外で空が見える空間の構成のあり方をこれからのまちづくりに入れておいたほうがよいと思う。うめ北の2期について広場が必要とは決して言わないが、1期の4棟の超高層があるのを意識しながら、残りの17haをどうイメージにするのか、ビレッジとの連携をどう取るのか、空間の姿、形のイメージを共有出来るようにすれば面白いのではないかと思う。

●大阪ミナミから見た梅田(キタ)

(岡村)
 
広場は個別ではなくトータルで考えなければならないと言うコメントであったが、南の方から梅田を見ておられる南海電鉄の山部さん、如何でしょうか?

(山部)
 5月4日に大阪駅が新しくなり、何回か来たが圧倒されて疲れる。関西中のお客さんを全部さらっていったのではないかと言う気がする。まちづくりについて2点課題があると思う。 ひとつは、駅を拠点とする大規模開発をすると周辺に人が流ないケースがある。京都はそうなのかどうかよく判らないが、エキュート大宮はそのような傾向があると聞いている。 もうひとつは中心市街地の問題になるが、都市でひとつの拠点が良くなるとその周辺が落ちてくる。南海電鉄は難波を拠点に勝負しているが、大阪中の人とお金が梅田に集中しており、心斎橋、難波が落ちてきているのではないかと感じたりする。そういう意味で、関西、大阪が大きくなることが最終的な目標であるが、それまでの間、どのようにするか考えなければならない。難波ではプレーヤーが少なく、鉄道は4社が乗り入れているが、土地を持ち商業施設を運営するのは南海、近鉄を入れて2社であり、どうしてもパワーが足りない。そのため、周辺の商店街の方々とみなみまち育てネットワークを立ち上げ、ソフトの面でなんとかできないかと考えている。一昨年の暮れに御堂筋イルミネーションがあり、淀屋橋周辺と中之島でイルミネーションを行政、大企業中心に行なったが、「御堂筋は難波までが御堂筋と違うか」と言う声が上がり、商店街がお金を出しイルミネーションをやることとなったが、なかなかうまいこと行かない。電源がないとか、周辺のビルから電源を借りようとしたら横槍が入ったりした。昨年は商店街の人から、「ちょっとでも北に離れないでおこう」と、是非やって欲しいとの動きがあり、来年もやろうと約束されている。南の良さは路面をうろうろ出来ることであることを商店街の方が言ってくれて、我々も一緒になってやっている状況である。

●まとめ

(岡村)
 山部さんから梅田に対する危機感の話があった。 時間も少なくなり、本日の課題がこなせていない点は我々の宿題として整理したいと思うが、今日のところは人の動き、快適に回遊することを整理して終わりたいと思う。最後にお一人ずつお話頂きたい。

(村橋)
 大変興味ある話であるので是非とも続けて頂きたい。もう少し焦点を当てながら、出来ればシリーズものにしてもらうと良いと思う。

(神田)
 大阪は非常に元気になると実感する。山部さんの話を聞いていて感じたのは、国際競争力とか都心機能とかは勝つか負けるか男性的であるが、まちの魅力の戦いは女性的で、梅田が綺麗になってきて危機感があるのが難波の状況だと思う。危機感を持ってもっと魅力的になってもらえばと思う。梅田は路面の良さを失ったので、難波は路面の良さで勝負するとの宣戦布告にも聞こえたが、 キタにはない魅力を是非ミナミで作って欲しい。 本日は大変勉強になり、このような会に呼んでいただいて嬉しく思う。この会が発展されることを心から祈っている。

(星野)
 
大空間の大阪駅に閑古鳥が泣かないよう、お客様の声を聞きながら情報発信されることを現役の方に期待している。もう一つ、大梅田を性格付けるのはうめ北に何が出来るかで、大阪が弱いと言われ る文化とか教育機能が入るのかどうか、これも期待している。

(平峯)
 このような議論をすると、勝つとか負けると言う議論が出るが、勝つこともあるが負けることもあり、その中で将来を見通してどう言う行動をしていくかと言う問題だと思う。世の中が変わればいろんなものが変わる。その中でも難波のような活動は続けなければならない。

(岡村)
 時間がきてしまったので、今日のところは、先ほどの粗い整理でお許しを願い、全体の取りまとめは、改めて、次回の機関誌の「潮騒」で整理 し掲載するということで、お許し願いたいと思う。本日はどうも有難うございました。


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