● 仮称「まちを視る」 フィールドワークの議事録(NO.1)

 

日時・場所

平成17年10月22日(土)PM2:00〜

京阪本線くずは駅周辺

 

参加者

参加者:平峯、藤田、鎌田、新島、吉谷、村上、芝内、友田、

奥野、金田、小川、松島、井出、宮内、藤野、茂福、

梶(17

 

テーマ

これからの沿線まちづくり

 

視察場所

(話題提供者)

京阪本線くずは駅周辺

京阪電気鉄道株式会社 経営統括室開発企画部 熊見豊明部長

 

記録者

茂福隆幸(寝屋川市

 

内容説明

 

@地区の概要

・昭和35年に八幡町と京阪電車と当時の日本住宅公団とが、総面積130万uのニュータウン建設計画を進めた。

・昭和42年に着工し、47年にくずはモールが開業した。

・住宅は京阪が153ha、5500戸22,000人、公団が186ha、9000戸、32,000人の計画で、駅前にはデパート、スーパー、専門店等の複合店舗と体育文化センターを併設した当時としては先進的なモール街としてオープンした。

・平成10年にリニューアルのための土地利用計画に着手し、平成12年にくずはタワーシティ着手、平成17年にくずはモールグランドがオープンした。

Aまちの特徴

・くずはモールグランドは従来の1本のモール型ではなく、たくさんの店舗が配置できるサーキットモール型で、京阪百貨店、ダイエー、専門店がうまく配置されている。

・駐車場は駅前店舗としては、大規模小売店舗法の規定の2倍以上の2000台を設置。

 

 

内容説明 

・車の誘導においては、出入り口を方向別に分けて交通を分散化し、道路に上空通路を設けて直接駐車場に誘導し、駅前には一般車を規制しバスとの共存に考慮している。

・飲食街は、一般的なモールのように最上階にかためるのではなく、あえて本館の屋外に併設した。

・ヒートアイランド対策として、屋上緑化、太陽光パネル、透水性舗装を施している。

・住宅部分は4棟488戸で41階のタワーシティは「100年住宅」ということで、設備関係をコンクリートに打ち込まないで、水周りや間取りの変更を可能とした、いわゆるマンションの注文建築とし、初めて超高層住宅の免震構造を取り入れた。

・隣接してフィットネスクラブ棟があり、モール街とも2階通路で結ばれ駅前生活が満喫できる構造となっている。

・当時の計画においては「企業採算に乗るか否かよりも都市計画の理念により忠実であるべき」という都市計画学会の立案を踏まえた都市計画・土地利用計画となっている。

・単なる住宅の提供にとどまらず、開発当時からのまちづくりの発想として、公益サービスの提供を行なった。

・店舗付分譲住宅や体育文化センターの建設を行なった。

Bまちづくりの活動(主な取り組み)

 ・くずは体育文化センターにおいて、文化・スポーツを通じて地域住民間のコミュニティを創り出した。

・京阪東ローズタウンでの取り組みとして、住民相互の親睦組織「たうんくらぶ」を運営

 ・生活サービス関連事業の展開として、マンション管理事業の延長に保育・介護事業を行なっている。

Cキーパーソンの有無

・当時の京阪電鉄の村岡社長

  (住民の精神的なゆとりや心の問題などが開発の中に含まれていないといけないという考え)

 

 

 

内容説明

D官民との係り

 ・地元の枚方市には好意的に協力を得た。

 ・大阪府と京都府にまたがる為、何かと問題はあったが、モールについては枚方市で完結するようにした。

 ・大阪府より、ヒートアイランド対策として、屋上緑化等に対し補助金をもらった。

 ・上空通路の設置にあたり、警察との協議に2年かかった。その経過を踏まえ、近畿運輸局等と懇談会を持つこととなった。

Eその他

 ○京阪電鉄に対するデベロッパーとしての期待

・今後はタウンマネージメント・エリアマネージメントに向けて、公益サービスの担い手としての役割を行う。

・生活サポート、近隣センター機能の強化、資産活用を通じてまちの活性化を図っていく。

・コミュニティ活性化のお手伝いとして、組織的活動の実践。例えば「たうんくらぶ」の逆輸入などを行なう。

・集合住宅の再生(建替え)事業や公共空間の再整備事業に取り組んでいく。

○くずはタワーシティ

・購入者は半径5km圏内在住者が約8割を占めて京阪沿線外がほとんどなく、当初の想定より狭域であった。年齢層は30〜40歳代が約半数を占め、60歳以上が2割強であった。家族数は2人が40%弱で最も多く、3人が1/4弱、4人が2割弱であった。

・販売成績はよく、竣工までに売り切れたので、事業としては成功であった。

 

 

問題・課題 

 

・予想を超えて公共交通(電車・バス)の利用が多く、車の利用が少ない。
ニューオープン以来、公共交通は土・日曜日は15〜20%増で、平日は4〜5%の増であった。

・団塊ジュニアの利用は増加した。団塊世代、特に男性からの受けはよくないようである。

・ニュータウン自体は、高齢化、人口減少、居住用資産の老朽化や陳腐化が問題となっている。

・全面買収に至らなかったことにより、地主土地利用が進んだ。

 近隣住区理論に基づく土地利用計画だったが、他のニュータウンに比べ、結果として派生的土地利用となった。

・ハード面だけではなく、ソフト面でのまちづくりが重要である。

 

提  言 

・駅前デパートにこれだけの駐車場が必要なのか。

 高齢化社会に向けた取り組みや、公共交通との関係において検証する必要がある。

 特に、守口の京阪デパートとの比較による分析が必要。

・ソフト的なイベント、特に樟葉の歴史を活かした活動が魅力のあるまちとして必要である。

・高齢化社会に向けて、歩いて暮らせるまちづくり等に取り組む必要がある。

・人が集まり、癒しを求めるこの時代においては、建物だけではなく、モールとその周辺が本当の意味での一体化し、地域の雰囲気づくりを進める必要がある。

・建物の外側に店舗の看板を上げているので、魅力が軽減されている。各店に好きな看板を上げさせないように何らかの工夫(規制)を行なうべきである。

 

 

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