レジメ = 園田泰一

1999.1.30     [資料]
元気の出るシンポジウム
「固定観念をぶっ飛ばせ」
〜官民一体のまちづくりを模索する〜

1.現在の街、都市計画、合意形成のプロセスなどについてどう思うか?
・満足しているか?どこが気に入らないか?

 学者   一級品の折り紙
         ||      ┐
 住民   何を言ってまんねん |
         ↓      ├行政 決断、施策
      ほんまかいな    |住民と同じレベルでのワークショップ
         ↓      ┘
      はんまでんな
      (伝建地区決定)
         ↓       各種取り組み

 平成9年、大阪府で初めて寺内町を伝建地区(伝統的建造物群保存地区)に決定した。
 合意形成プロセスには時代の背景が大きく位置している。

  • 昭和30年代の高度経済成長が始まった時に寺内町区域に都市計画道路(幅員20m)を東西、南北、串ざしに計画決定をした。
  • 昭和50年代後半、経済も安定的な状態となり、市民もより高度な快適なまちづくりという面に対する気運も高まり、町並み保存が叫ばれた。

 このようなこ−ズの変化が、伝建地区決定に際しての、合意形成に大きく影響をした。

2.今まで実践してきたこと・その目標?

 寺内町の伝建地区、決定するに当たっては、時代の変遷とはいえ、開発型の都市計画道路が決定をされた区域に、まさに保存型の伝建地区決定を整合さすという、前例のない進行は多くの皆様の協力による法手続きのサポート、各種イベント、各種取り組み、各賞受賞を通して

 町 家→富田林・南河内の宝→府の誇れる迎賓棺→伝建地区決定(国の宝)

にする目標(熱意)があったからこそであると考える。

3.街づくりには、

(1)公園や震災復興など、身の回りの生活環境をどうしていこうかという「地域レベルの街づくり」と、
(2)幹線道路など、広域的・根幹的な都市の基盤をどうしていくかという「都市レベルの街づくり」というように、概ね、分けて考えられるが、
 先ず、「地区レベルの街づくり」について、
 ・計画の主体? ・事業実施は?
 ・実践面から見て、住民ができないこともあると思うが、それは何か?
  どう解決したら良いか?

 寺内町については、1つの大きなきっかけと決断があり、そのあとの具体の取り組みが地元住民の大きな盛り上がりになった。

1つの大きなきっかけ
−−S58寺内町創建からの旧家の杉山家住宅が売りに出される
  →保存の検討
決   断
−−市が買収、1億6,600万円(市の当時予算の0.6%)
  旧杉山家住宅、国の重要文化財指定→解体修理→一般公開
具体の取り組み
−−市単独でS62「町並み保全要綱」制定
  建物外観・修理・修景に対する助成制度
住 民 参 加

−−まちなみ保存と都計道路の扱いなど
  地区住民との勉強会
  ↓
「寺内町をまもり・そだてる会」結成
伝建地区決定について 住民の約90%を超える合意

 行政は方向性、具体施策、技術支援、情報公開等については主体的に進める必要がある。

 住民主体となって、展開するまちづくりは「市・民一体によるまちづくり」という表現が適切である。

 行政もその中の一員であり、住民と行政はパートナーシップによってまちづくりを進めるべきである。

 地区決定は当初予定より7〜8年遅れたが、結果的にはその期間、合意形成に非常に有効であった。

4.「都市レベルの街づくり」については、今後も、行政により進めることとなると思うが、どう思うか(・計画の主体 ・事業実施は)?
・その進め方等で改善点はあるか?

「都市レベル」と「地区レベル」がお互いにうまく機能しなければ、まちづくりは出来ない。

 全体的な計画というのは、地域の住民には理解されにくいのは事実である。広域的な役割、必要性を住民に理解を得る努力をするべきであるが、その上で全体的なバランスを損なわれない程度の調整ならば「地区」特性を考え、変更を実施すべきであると考えます。

 特に、寺内町で言うと、富田林の東西と南北を結ぶ幹線道路(幅員20m)2路線が昭和33年に決定された。

 道路は開発型の都市計画で、一方伝建地区は保存型の都市計画、これを同一地区に決定するという矛盾があり、府下においても同様の前例がなかった。

 地形として、鉄道・駅−−駅前商店街−−寺内町−−石川と連なる
            (再開発計画)

 当地域では、物理的に新たな道路の新設は不可能であった。

 しかし、伝建地区の決定には都市計画道路問題は、絶対越えなければならないハードルで、この問題に約8年を費やしました。

5.街づくりにおける学者、企業、住民、行政の役割・責任をどう思うか?

 まちづくりは息の長い事業である為、各関係において、信頼関係がまず重要であります。

 本来は地区内で生活をしている住民が主体となって行うのが理想であるが、行政は住民のまちづくりに対する意識向上や、まちづくり協議会の設立などの誘導に、努めるべきである。

 計画、立案過程においては専門的な立場で学者やコンサルタントなどの技術的サポートも必要である。

 行政 具体の施策の立案、実行と住民へのサポート

今後の課題

伝建地区内 学術的なまちor観光化
定住人口の回復
居住者における老後の生活の安定
次世代に残せる環境づくり
公共施設、公共サービスの整備

行政、住民、関係者が固定観念をうち破る必要がある。

  • 行政は縦割りから多様で創造的、総合的な住民、まちづくりに応答可能でなくてはならない。
  • 行政はもとより各関係者は住民が責任ある判断、意志決定を行うために必要な情報の提供、公開を推進する。
  • 住民には地域のコミュニティ、自治力を高める事が望まれる。町会的組織だけでなく、それを含んだ再編と、片寄った利益やエゴに陥らない判断力や話し合いのルールを身につけなければならないだろう。
  • 市民まちづくりを資金面や情報、技術面で支える仕組みを充実することが今後の課題。

富田林寺内町(伝統的建造物群保存地区)図面


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