釜山市シンポジウム 巻頭言

韓国プサン市との都市開発交流

平峯 悠

 地域デザイン研究会の平成11年の現地シンポジウムは大阪府都市整備センターの阪本氏並びにプサン市開発公社金理事のご尽力により、プサン市で開催された。

 大阪とプサンは、首都である東京とソウルに次ぐ第二の都市として特徴づけられる。中国における上海も同じであるが、第二の都市ということは、それぞれの都市の未来像や施策の方向或いは国土の中での都市に対する意識が共通することが多くなると考えられる。従ってお互いが自らの都市圏のありようと、将来方向を共通テーマとして議論することそれ自体が大変意味を持つものと考える。

 実際に安市長はじめプサン市を代表する都市計画・開発の専門家と一堂に会したシンポジウムは、言葉や歴史の違いがあっても、大変有意義なものであった。プサン市の関係者に心から感謝するものである。

 会議そのものは記録に残り、資料としてまとめられるため、そのことには触れないが、私たち実務に携わる都市計画・都市整備関係者は実際に街を歩き、実態を見ることから新しい発見がある。その中でいくつかの点に触れておく。第一は、住宅についてである。国によりまた地域により住みかたや住む様式が異なることは当たり前であるが、外国に行って感じるのは、玄関を入ると直ちに訪問者を受け入れる部屋が用意されていることで、これが日本との決定的な違いであろう。外国人や他人との付き合いの仕方は住宅様式からの改善も重要であろう。第二は、密集市街地整備の問題である。土地の制約やインフラの現状をつぶさに見て歩いた印象からも、今後日韓双方の共通のテーマとなろう。第三は、国際集客都市としての施策と売り物についてである。よき競争相手として見た場合、大阪がリードしているところと競争に勝つため解決しなければならない点が当然あろう。差が歴然としてあるのは、地下鉄・タクシー等のの料金の安さである。移動のネットワークの整備と料金を含めた移動経費の安さは国際集客都市の基本であることを体験した。

 その他、両市を比較したとき考えるべきことは多くある。都市の形成の歴史や風土を理解した上で、両市の発展のために個別の議論と交流が今後是非とも必要であると痛感している。私たちが外国の都市というと、欧米の都市や日本の古代都市のモデルとして移入された中国の都市をさすことが多い。同じ東洋で一番近い韓国の都市を私たちがどのように捉えるかは、本来第一に行わねばならないことであったのではないか。その意味で今回の地域デザイン研究会のプサンでの現地シンポジウムは、極めて有意義であってと思う。

 最後にお世話いただいた幹事の皆さんに感謝するとともに、暖かく迎えていただき、かつシンポジウムの設定と設営をしていただいたプサン市のすべての関係者に心からお礼を申し上げる次第です。プサン市の今後の益々の発展と皆様のご健勝をお祈り申し上げます。


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