地域デザイン研究会「まちと中心機能」分科会 議事録
日 時 平成13年2月8日(木)午後6時30分から
場 所 大阪府職員会館第1会議室1. 話題提供
テーマ:私の震災復興まちづくりの検証
話題提供者:(株)ジーユー計画研究所 後藤祐介 氏
@ 白地地域の復興まちづくりは、戦災復興土地区画整理がベース
事業地区(区画整理、再開発など)でないところを「白地地域」と呼んでいる。
空襲による戦災を受けなかった地区(兵庫、長田、六甲など)を震災復興で穴埋め。
阪神間では戦災復興区画整理が財産となっている。
東京では郊外の耕地整理が進まず、阪神間では(組合型の)耕地整理が進んだ。六甲山からの鉄砲水から財産を守るため(明治、大正時代)。
50年前から「復興事業」ははじまっていた。その恩恵を受けて今やっている。
西宮市では地震後3日間で区画整理地区が決定→@西宮北口北東地区、A森具地区→これ以外は戦災復興されていた。西宮北口では水利権争いが絶えず耕地整理が進んでいなかった。
白地地域では@共同建替えの促進、A整序型地区計画の決定をすすめた。
近隣住環境計画制度→100m×100mの戦災復興区画整理(区画街路)がベースとなり、「うるおいのある路地づくり」(必ずしも4m道路をつくらない)を行う。
白地地域のまちづくりは、@民のベースを活かして、A行政はそれを補完する(戦災復興区画整理などある程度のベースがなければならない)
A 震災復興まちづくりも平常時(震災前)からの取り組みが有効だった
2月1日から地元に入って復興まちづくりに取り組む。
共同建替えの案を10件つくって4件が成立(2〜3ヶ月間で)。
震災前からまちづくり協議会活動が行われており、住民と行政の間に信頼関係があり、震災後いっきに進んだ。
まちづくり協定により、一定の建物について制限(協定に沿って建ててもらう)。
協定項目は絶対条件ではないが、これまで絶対にイヤといわれた例はない。
岡本地区、深江地区、新在家地区は、震災前は進まなかったことが震災によりいっきに進んだ。進まなくても(まちづくりの取り組みを)続けていることが重要。地元がやる気さえあれば行政は担当を一人ぐらいはつけてくれる。
B 共同建替え事業等の成就は復興特別支援の賜物
事業に対する補助金(率)がいい→補助率4/5
公営仮設住宅が準備されていた。
住宅融資制度の充実(増床分)
商業の融資制度の充実→資金の90%を無利子で20年間貸付
芦屋市若宮住宅(震災復興住環境整備事業)では、土地の交換についての税の特例(等価交換)を認めてもらうなど震災特例が多くみられた。
C西宮で環境整序型まちづくり運動が誕生
西宮市→「文教住宅」イメージ→プライド意識が高い。
安井地区は耕地整理がされ良好な環境の住宅地であったが、マンションラッシュが起こったため地区計画で高さ制限をした。
既に20の協議会が組織化、まちづくりの機運が高まっている。
環境整序型(ルールづくりによるまちづくり)がブームに。
ものづくりは難しい→戦災復興区画整理が財産になっている。
既存不適格を認める→基準日より前に7階でれば5階の制限があっても建替えを可能とした(建設省と協議済み)。
D震災が専門家のネットワークを育てた
震災時は行政だけでは手が足りない。住民と行政の間を取り持つコーディネーター→コンサルタント。
コンサルタントの役割→情報の伝達、ノウハウの伝達
阪神白地まちづくり支援ネットワーク→規約、会費なし
震災により阪神間に「まちづくり文化」の芽生え
今日の大学は閉鎖的になっており憂いを感じている。
若手の育成→新しいネットワーク(震災復興の中からうまれたひとつの財産)
2.意見交換
Q:どこまでが仕事でどこまでがボランティア(遊び)であるのか?
A: 仲間がNPO法人化すると聞いて理解しがたい。NPOは無責任な団体。株式会社がやって何が悪いのか。"NPO法ができたから法人化"というのはやめてほしい。自分としては特に区別はしなくて良いと思っている。区別したらできない。
Q:分けることができないくらい楽しんできたということか?
A:兵庫県の難波氏は「楽しい、おもしろい、いい仕事をしたい。」といい、行政マンとしてではなく個人として出てくる。「ネットワーク」のコアスタッフにもなっている。
Q:給料をもらってやっているのが仕事の部分とすれば、CDKは遊びの部分である。
A:切り替えてはいない。行政マンとして言うと市長が言ったことになるから、行政マンとして言えないことをコンサルが言う。そうすると本音で話し合うことができる。
Q:近隣住環境計画制度は再スプロールが起こるのでは?
A:こういう地区では何がなんでも4m道路と考えるのは無理がある。100mの区画街路が整備されていれば消防活動は可能。中心後退を2mしても一部植栽は可能としている。
100mの基盤があるのなら、地域の中でいいのなら緩和しても良い。ないところはダメであるが…Q:「ポスト大学」とあるのは大学を超えてとの意味か?
A:YES。大学でできない部分をフォローする。学生に「生」(現場)の話しをしていくことが必要である。水谷ゼミナールの紹介。
Q:若手とは何歳?
A:現在は32,3歳がリーダーとしてやってるようである。気持ちが若かったらいいのでは?
以上