REPORT
地域おこしを目指した
「吉本新喜劇」騒動記(上)
〜実行委員会結成まで〜
前田秋夫
2011年6月18日、ひこね文化プラザグランドホール(1,400席)を満席にして「彦根地域住民の参加する吉本新喜劇」が開演した。座長・内場勝則、主な出演者・チャーリー浜、若井みどり、ミスターオクレ、山田花子、吉本若手100人くらい、オーデションで選ばれた地元の人70人という陣容で昼・夜の2回公演である。台本も、ライターに現地に入って書いてもらったという念の入れようである。この新喜劇は、彦根地域の自治会、老人会、NPO、商店会等が実行委員会を結成し主催したものであり、地域おこしとしても面白い内容なので報告する。
(2010夏:ことの発端)
仲良し4人組(T,K、M、N)でビールを飲んでいるときのこと。
T:「そういえば、吉本興業が100周年記念で、地域と組んだプロジェクトをスタートさせていて、相手をさがして欲しいと頼まれているけど」
Mはこの時かなり酔っ払っており、「面白い。是非やろう」と言ったそうです。(言った本人は全く覚えがない)
次の日、Mが二日酔いの頭を抱え会社に行くと、Tから「来週、吉本のエリアプロジェクトの責任者のアポを取ったから、吉本本社に乗り込むよ」という連絡が入った。
M:「えーッ。なんじゃそりゃ」。こんな感じで、ことはスタートした。
(1週間後:吉本本社に乗り込む)
吉本本社では、テレビで見たような人がウロウロしており、TとMは緊張気味で吉本責任者から説明を聞くこととなった。2人を紹介してくれた人がかなりの大物だったこともあり、相手は専門家と思ったのか、最初から事業の具体化の話になってしまった。
責任者:「具体的に組んで事業をする地域としてはどこを考えていますか」
Mは、ここで頑張らなくてはとばかり「私たちは、これまでもいろんな地域おこしにかかわっており、候補としては、高松、和歌山、岡山、栗東、米子他が考えられます。具体的な内容を地元に説明して、地域の考え方を聞いてみます」と言ってしまった。
具体的に吉本の考えている内容を聞き、改めて地域を確定してくる約束をし、吉本を後にするはめになった。
T:「大丈夫?」、M「…」
(2010夏〜秋:地域探し)
栗東、高松、和歌山と知り合いを通じて、持ちかけてみるが、成案とはならなかった。
彦根:ある日、Mを30年位前から仕事の付き合いのあるN氏が訪ねてきた。
「いい歳になったので、地域のために何かしたいと考えている」(N氏は彦根でいろんな取り組みをしている)
「彦根のネタを入れたオリジナルストーリーをつくり、吉本の芸人さんと一緒に彦根吉本新喜劇を彦根でやりませんか」
「??吉本新喜劇ですか」。そんなやり取りがあった。むげに断るわけにもいかず、N氏は地元にこの話を持って帰って相談した。その結果、「地元の有志を集めて相談したところ、みんなやる気満々なので取り組んで行きたい」ということとなった。こんな感じで、何とか彦根に決まった。
(2010秋:吉本責任者と4人組 彦根に乗り込む)
まずは、吉本責任者と4人組が彦根に出向き、地元の有志と打合せをすることとなった。
大まかな内容説明の結果、地元は実行委員会を結成し、吉本・4人組と組んで「彦根地域住民の参加する吉本新喜劇」を実施することとなった。
(2010冬:第1回実行委員会)
自治会、老人会、NPO、商店会などの代表を約50人を集め、第一回実行委員会が開かれた。地元の盛り上がりはすごいもので、さすがの吉本も少し押され気味であった。これで4人組の役割は終わりかと思ったが、興味もあり、地元、吉本とも繋ぎ役として続けて欲しいということなので、続けることとなった。
(騒動は続く)
この後も、地元も吉本も4人組も初めての取組みであり、すったもんだしながら騒動は続いていくのであるが、紙面の都合もあり、開演までの話は次の機会に譲ることとしたい。
(次号へ続く)