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■ 震災復興に思う

 道下弘子氏が、東日本大震災発生直後の国交省や首長の対応を取材した潮騒記事(2012年冬号)は阪神大震災の教訓が生かされ、的確な対応をした人々の姿を彷彿とさせている。

 あれから既に1年2カ月、報道を通して私達の目に映るのは、がれきの山、閑散とした市街地、行政の遅れなどで一体誰が何をしているのか、あきれ果てる。土木・都市 計画学会の震災特集には、「調査費ばかりで何も始まらない」「課題列挙」「防潮堤議論が先行」「緊急時の建築基準 法の問題」「夢を描きすぎ」「被害者感情が強すぎる」などの報告が学者の中から出されているが、分かっているならなんとかせんか。

 戦後の荒廃した町ですさまじいパワーを発揮した民間市(闇市含む)を知っているものとしては、もっと商売人や 民間企業の力を活用すべき。建築規制をもっと柔軟に運用し、地域の拠点・中核を作ればその周りから新たな復興の方向が見えるはず。高台移転を含めた復興計画も必要ではあるが、住民の意見を聞いて進めることと並行して、地域 を活性化させるあらゆる方策を直ぐに実行すべきである。

 東北人の我慢強さとお上頼り体質に胡坐をかいた政府と霞が関が復興を阻んでいるのは間違いない。(H.H)

■ プロフェッショナルがリードする責任ある社会に

 なぜ、ここまで日本は閉塞感が充満する国になってしまったのか? 1960年代からの高度経済成長期も含め、時代の先を読んで、大胆に仕組みをつくり変えることができてこなかった。内圧・外圧が顕在化して慌てて手を打つ対処療法的な政策が目立った。打つ手もメリハリがなく、効果が期待できない。それでも成長期は、人々の不満、不安 を成長がカバーしてくれた。しかし、無策にバブルを弾けさせてしまって以降、失われた20 年が経ち、人々の暮らしは厳しい状況になった。

 先手はどうすれば打てるか。例えば89年冷戦終了(防衛、安保、尖閣、〜)、90年バブル崩壊(産業構造、グローバル経済、〜)、95年阪神大震災(価値観、都市、地方主権、〜)といったパラダイム変換を読む感性、見識。専門馬鹿はダメだが、それぞれの分野をしっかりささえるプロフェッショナルを育て、重んじる世をつくることだ。(T.O)


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