REPORT

「バル」によるまちおこし
「まちを視る」分科会 「伊丹まちなかバル」FWレポート

「まちを視る」分科会主査・茂福隆幸(寝屋川市)

  「バル」という言葉を聞いたことはありますか?本来はスペイン語で「BAR」のことで、お昼のランチや仕事帰りに軽いあてをつまみながら軽く1杯を飲む憩いとふれあいの場のことです。それを日本風にアレンジして「まちなかバル」としてまちおこしを行ったのが函館で、関西では伊丹がいち早く開催しました。「まちを視る」分科会では5月19日、「まちなかバルによるまちおこしの効果」をテーマに、第6回伊丹まちなかバルのまち歩きを行いました。今回は8名が参加し、今年10月にバルの開催を予定している寝屋川市ブランド戦略室のメンバー3名も同行しました。

■伊丹は清酒醸造法確立の地

  JR伊丹駅を出ると直ぐに有岡城跡の石積みが目に入り、その前の広場で同時開催のフリーマーケットが行われていました。伊丹は清酒醸造法確立の地で、江戸時代は72軒の造り酒屋があり、現在も2軒の酒造会社が残っています。駅前からバルインフォメーションのある三軒寺前広場までの道路沿いは、昔を思わせる酒蔵と中心市街地活性化計画により整備された道路や店舗がバランスのとれたまちなみを形成していました。

  バルは昼の12時からの開催ですが、昼前から大勢の人で賑わい、人気の店では既に行列ができていました。来場者は事前にホームページ等で情報を収集される方が多く、私達も普段は少し高価でハードルが高く入りにくい寿司店に並び、昼食を取りました。

■第3回近畿バルサミットに参加

  昼食後、国の重要文化財に指定されている「旧岡田家酒造ホール」で、伊丹まちなかバルの仕掛け人である伊丹市役所都市活力部の網野様にバルについてお話をお伺いし、第3回近畿バルサミットに参加しました。

  伊丹まちなかバルのシステムは前売り券1冊3000円(600円×5枚)、当日券1冊3500円のチケットを販売し、参加店舗は1枚600円分のバルメニュー(基本的に1ドリンク、1フード)を用意し、5つの店舗を飲み食べ歩きするものです。

■一過性に終わらせない「システム化」で継続を

 網野様のお話では、伊丹でバルを開催したきっかけは、1枚の新聞の切抜きで、函館の西部地区でのバルの開催を知り、参加者も参加店舗も毎回増えているというのを聞いたからだそうです。今までのイベントは一過性に終わっていましたが、バルの場合はシステム化することにより継続する仕組みができます。1回目の開催は行政が主導で行いましたが、2回目以降は実行委員会が中心となり運営し、事務局体制を整え、バル経費はチケット収入で賄い、助成金に頼らない仕組みを作り上げています。1回目の開催までは参加店の募集(チケット代還元システムへの同意)や日程調整や各種イベントとの調整等苦労は多かったようですが、今までに6回開催し、参加店舗も約90店舗となり、チケットの売り上げ枚数も年々増加し、今回は3500冊に達したようです。また、伊丹バルではミュージシャン約70名が街角や店先で音楽を演奏する「伊丹オトラクな一日」も同時開催し、バルのまちを盛り上げています。

サミットには開催市等から約90人が参加

  バルサミットには近畿2府3県からバルの開催市や、遠くは佐賀県や千葉県から総勢約90名が参加されました。バルの実施地区の開催報告や情報交換や近々開催される地区のPR等の発表をされました。

  バルは一定の地区での飲食店が参加し、1ドリンク、1フードの飲食メニューで始まりましたが、大阪の京橋では商店街での開催や、物販店が参加し野菜、ケーキ、和菓子、玩具、オリジナルTシャツ等の販売やお土産を活用したバルや、三田ではスイーツバルなど、どんどん進化しているようです。

■関西では30地区以上で開催中

  現在、関西では30以上の地区でバルを開催しており、関西人は食べ飲み歩きやお得なイベントや店の方と客とのコミュニケーションが大好きなので、関西でバルが流行っていると網野様が言われたのがその通りだと思いました。

  通常はFWの後に懇親会を行っていますが、今回は昼から飲食しましたので流れ解散とし、幾つかのグループに別れバルを楽しみまた。私は夜の8時まで滞在しましたが、夜になっても人気の店には行列が途切れない状態が続き、まちは賑わっていました。


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