REPORT

「地域遺伝子とまちづくり」調査

5年間の成果概要「小冊子」にまとめる

地域デザイン研究会事務局

(社)近畿建設協会の支援を受け、平成20年度から始まった「地域遺伝子とまちづくり」調査は、平成24年度でひとまず終えることになった。この成果を元に今後は、地域やまちづくり市民団体、行政の災害対策関係者などと意見交換の場を持っていくことになる。5年間の経過や成果概要を紹介する。

●これまでの経過


<河内平野の成り立ち>

<淀川の氾濫>

<環濠集落>

 平成20年度には、枚方市域を対象とした「地域遺伝子調査」を実施した。初年度で手探りであったが基礎的な資料収集の方法および地域遺伝子を表現し、一般に広める手順の一部を明らかにした。

 平成21年度には、対象を北河内全域に広げ、各市域の歴史、民話や、集落の様相、道路・鉄道の変遷を調べるとともに、明治、大正、昭和、平成の各地形図の上に、地域遺伝子を書き込み、遺伝子地図を作成した。地域遺伝子を活用した都市計画やまちづくりのツールとなることを目指したものである。

 平成22年度は、再び北河内全域に対象を広げ、地域遺伝子調査の最終成果としての「地域遺伝子マップ」を作成し、行政における都市計画基礎調査を補完するとともに、住民・市民との連携を図る有力なツールとなることをめざし、枚方市域・交野市域について、報告書を作成することが出来た。

 平成23年度は、未曾有の大被害をもたらした東日本大震災のあとを受けて、「水とみどりの履歴・記憶(アーカイブ)」調査を行った。「水とみどりの履歴」を視覚的でかつ利用しやすい資料として提供し、市民、行政等の安全で豊かなまちづくりの一助となるようとりまとめた。

 なお、5カ年にわたる北河内地域の遺伝子調査は、NPO地域デザイン研究会 平峯悠(総括)、松田時和、鎌田徹、下條章義、新島健士、山本陽子の各氏によって実施されたもの。

●平成24年度調査

 「地域遺伝子及び水とみどりの履歴を生かしたまちづくり」 過年度の遺伝子調査および水とみどりの調査を要約し、同時に補足のための調査も行い、地域住民や北河内各市行政に説明し、意見交換を行うことを目的に、「地域遺伝子とまちづくり~地域を知ってまちづくりに生かすワークブック~」の小冊子をまとめた。カラー40ページ建てで、図表も多く非常にわかりやすく、興味を抱くものとなっている。 目次は<1.はじめに>、<2.まちづくりと地域遺伝子>、<3.北河内地域の生い立ち>、<4.水を治める>、<5.水から「くらし」を守る>、<6.水をつかう>となっており、その一部を紹介する。

●河内平野の成り立ち

 河内湾Ⅰ期から、河内湖Ⅰ、Ⅱ期、現代にいたる変遷が述べられており、江戸時代中頃から起こった門真の名産「門真レンコン」についても、いきさつが述べられている。

●淀川の氾濫と治水

 享和2年、明治18年、大正6年、昭和28年、昭和40年に淀川流域で洪水が起こっている。特に、明治18年の洪水による被害は甚大で、茨田郡、讃良郡、東成郡、大阪市内の上町台地を除くほとんどの地域、また中河内地域も大和川北岸にまでが泥海と化した。それらから、明治29年から淀川の大改修工事が行われることになる。

●水から「くらし」をまもる

 淀川下流の低湿地帯では、囲堤が築かれていた。囲堤は河川沿いだけでなく集落や耕地全体を連続した堤防で囲んだもので、洪水時には集落だけでなく農地も冠水から守る効果があった。


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