REPORT
「まち」の顔ができた
~グランフロント大阪(GFO)を見学して~
小西道信
視察会の概要
日時:平成25年11月20日
参加者:13名
進行:うめきた広場に集合→タワーBのロビーで概要をヒアリング→同最上階から周辺施設、大阪平野を一望→北館9階のテラスガーデン散策→ナレッジキャピタルを視察→懇親会
2004年の大阪ステーションシティ事業の開始以来、大阪駅周辺(キタ)は日々姿を変えてきた。2010年阪急オフィスタワー竣工、2011年3月大丸梅田店改装、同年11月三越伊勢丹開業、2012年11月阪急百貨店改装開業、そして2013年4月グランフロント大阪が開業し、一段落した。都会らしくなった、まちの顔ができたという声を耳にします。私のお気に入りスポットを上げてみます。
<超高層ビルの集積と広がり(スケール感)>
ルクアデッキからGFOを望む大阪駅南側から東方を望む景観、ルクア2階デッキからGFOを望む景観
<にぎわい>
人の流れ=カリヨン広場、大阪駅連絡デッキ
行列のできる店=近畿大学水産研究所、キル・フェ・ボン
<楽しさ>
人や電車の往来を俯瞰して楽しむ=大阪駅南北連絡橋、三越伊勢丹デッキ、アトリウム広場
周囲の景観や屋上植栽を眺め、憩う=風の広場、北館・南館テラスガーデン
ちょっとした気遣い=コーナーに生け花や美術品を配置、壁面を開口して外部の景色を見せる。▽イベントを楽しむ=阪急百貨店祝祭広場、ナレッジプラザ
◆統一感が心地よい
ビルに目を向けると曲線あり直線あり。色彩は黒・灰色・水色等。素材もガラス・石材・コンクリートありと自己を主張しつつ、結果的にはビル単独の美しさもさることながら統一感が心地よい。レストランの窓から、屋上庭園から、廊下の開口部からお互いのビルを景観として取り入れ、利用し合っているところが面白い。
◆まずは足を運んでもらうこと
商業ビルにおいては、出店した商業・サービス店舗の目新しさ、知名度、また商品・サービスの価格、品ぞろえの充実といった売り上げに直結する要素は無論のこと、人が集まってくる仕掛けづくりが必要になってきた。いろんな楽しさを提供し、まず足を運んでもらうことが必要だ。
キタの面白さは、これまでに体験したことのない「まち歩き」の楽しさと思う。ダイヤモンド地下街から徐々に階を上げ、大阪駅の大屋根の下を通りGFO北館に至る距離感と道すがら目にするものの多様さ。複数の動線の組み合わせによる迷路性。全天候型で気温の変化にも強い屋内部分と解放された屋外の組み合わせ。しかもバリアフリー。あたかも稜線を連想させる直に続く階段やエスカレーター。渡り廊下や屋上庭園、吹き抜けの大空間を見下ろすテラス、開口部は展望スポット。BGMを聞きながらのウインドショッピングはうきうきさせてくれる。
GFOはキタのコアエリアを拡大するとともに、その南北に長い地形を活かし、まちを歩く楽しさを拡充させたといえる。
◆出会いを通して新たな「価値創造」へ
視察後の懇親会また、GFOの目玉であるナレッジキャピタルは、「分野を超えた出会いを通して新たな価値創造」を目指している。ナレッジサロンの会員には、「知の提供者」としてゲストスピーカーを招いての木曜サロン、小グループでの議論等の孵化期間を経て、デスク借り・オフィス借りスペースの主となるシナリオと場が用意されている。
ガラス張りの衆人環視の中で業務を行うことで、緊張感なり誇りがプラスの作用を起こすのかもしれない。このビジネス風景もナレッジキャピタル来場者にとっては見ものの一つである。
楽しさで人を集めるという点においては、GFOはキタでその役割を果たしているのではなかろうか。 案内していただいたオリックス不動産の近國さん、林さん、そして視察の呼びかけ人の中尾さん、ありがとうございました。