REPORT
第1回「地デ研・旦那文化研究会」を終えて
田中賀鶴代
10月18日 高槻市のJR摂津富田駅前の私が茶道教室をしている古民家で、第1回「地デ研・旦那文化研究会」を開催しました。2年ほど前にO氏とM氏とでお酒を飲んでいた時に「日本文化おもしろいよ。地デ研で和文化を遊びませんか」「やろう!やろう!」。それが旦那文化研究会発足の始まりでした。最初は和文化全般の体験も企画しましたが、まずは茶道から始めることにしました。(参加者:平峯、小西、立間、中尾、坂口、田中)
当日は少し雨が降っていましたが開催には支障なく、うららかな日和。ご案内は午後2時で、打ち水をしてお待ちしました。お茶の習慣では、「門扉が開き、打ち水をしていれば準備ができています」という意味です。
<席入り>
はじめに白い靴下に履き替えて、扇子を一人ずつ持っていただきました。白い靴下は足袋の代わりです。新しい靴下に履き替え、お掃除をしているお部屋を汚さないという客側の心配りでもあります。扇子は結界の意味があり、和室に入るときの必需品でこれを持っておくと便利です。
扇子を正面に置いてご挨拶。部屋に入るときも前に置き、お床、茶花、香合、釜を拝見するときも扇子を使います。
<床の間 軸 道具拝見>
茶席の中で一番大切なものは「軸」と言われるくらいです。そこにはその日のテーマやメッセージが書かれているので、客はその内容をみて当日の主人の意図を感じ取るようにします。今回は「和敬清寂」という茶の湯の代表的な精神の軸を掛けました。
「和敬清寂」の意味は「和」は「和合」、「敬」は「お互いに尊敬し認め合うこと」、「清」は「清らかな心」、「寂」涅槃寂静の境地すべての無駄を省いて、最後に残った「本当に生粋の心、何があっても動じない心」の意味です。
<お菓子とお茶>
お和菓子職人制作の季節のお菓子とお茶を2服召しがって頂き、時候の茶道具もご覧いただき道具の説明もしました。
<日本酒と日本の歌のおもてなし>
少し休憩の後、八寸(私の手作りの酒のアテ)と新酒鑑評会で金賞受賞の高槻・富田地酒を召し上がっていただきながら、アシスタントをつとめてくれたソプラノ歌手の松浦祥子さんの歌で茶道と歌のコラボレーションをお楽しみいただきました。
<町歩き>
茶会の片付けをしている間、皆さんには高槻富田のボランティアガイドの方にお願いして町歩きを楽しんでいただきました。
<まとめ>
茶道というと堅苦しいイメージをお持ちの方が多いようです。確かに茶道には格式や作法などがいくつかあります。しかしそれらはいかにお客様をもてなすか、ひと時を快く過ごして頂くかの配慮に他なりません。茶道は建築、造園、墨蹟、花、陶磁器、金属、鉄工芸、漆器、木竹工芸、着物、料理、和菓子、織物等の様々な芸術文化を包含する日本の総合芸術と言われており、言い換えると入り口がたくさんあるので、興味のあるものを中心に入って頂けたらと思います。でも一歩踏み込んでみると、それらが独立して発達したのではないことがわかってきます。様々な共通点があり、多くのものがつながって、文化を形成しています。微力でございますが、旦那文化研究会ではその場にいる人全員が楽しくなる空間を、ご一緒に創っていけるようにつとめたいと思っています。どうぞお力をお貸しくださいますようお願い申し上げます。
<参加者からの一言メッセージ>
まさに茶道は「日本文化が結集した姿」「日本文化の結実」であることを実感。「静・寂・動」を併せ持った総合芸術ですね。「おもてなし」に対し、改めてお礼を申し上げます。(N氏)
扇子一本が「聖」と「俗」の境を創り出すところが魅力的(K氏)
結構、気に入っています。初めてのことで、いささか緊張していました。でも作法を習い、身に付けていくことで、周りとの間合いをはかる良い勉強になりそうな気がしました。日本の歌も日本酒も嬉しかった。ただ、一対多数でのキチッとした作法の伝達は、素人集団の生徒ばかりでは難しいのかも知れません。初歩的な教科書を各自で購入し、予習復習をさせてはいかがでしょうか。(T氏)