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気がつけば「LCC」愛好家

大戸修二

  一昨年(2014年)の夏、東京の友人が大阪に突然やってきた。聞けば、Lcc(格安航空会社)を利用して東京・成田~関空までの運賃が何と4000円弱。一度乗ってみたいと思っていた私は、彼からアドバイスをもらってネット予約を行い、2ヵ月後のジェットスター・ジャパンで東京へと向かった。それがきっかけで、私は今やLcc愛好家に変身。関西国際空港発着のLcc便にのめり込んでいる。

●「安さ」だけでない魅力創出へ


関空発着のLcc(写真はピーチ・エア)

 1994年9月の開港から今年で22年を迎える関空は、すでにLccが集まる国内最大拠点を形成し、就航中のLccは、国際線・国内線を合わせて全16社を数えるまでになっている。

  Lcc利用のメリットはとにかく運賃が「安い」こと。大手航空会社(レガシーキャリア)より2-5割安と言われている。加えて超破格料金を時限的に設定した「セール」もあるし、燃料サーチャージが徴収されない場合や割安の場合もある。一方で機内食、飲み物、毛布など機内サービスが有料、預け荷物が有料、座席間隔が狭い、欠航時の保証がない、遅延が多い-などがデメリットだという声もある。

  そうした中で私は、昨年1年間に関空発着のLcc便を10回利用。Lcc各社から定期的にメールで送られる「セール開催」のメニューをいつも楽しみにしている。行き先・日程を選び、ネット予約し、翌日までにクレジットカードかコンビニで支払いを終えれば手続き完了。予約確定の知らせはメールで申込者に届く。

  最も安かったケースは5月に利用した関空~沖縄那覇で、往復3,980円(別に支払い手数料)。時にはホテル付きパック形式のセールもあり、4月・5月の連休に2泊3日で利用した関空~北海道・札幌便は、三つ星クラスホテルの宿泊費を含め1万8,700円で、桜が咲く札幌・小樽・余市の旅を満喫できた。

  デメリットとして指摘される「遅延」問題も経験した。上海発・関空行きのLcc便でのことだが、説明がないままに搭乗開始時間が1時間遅れた。機内で乗務員が人数を確認したら、乗り継ぎ客の数人が乗っていないことが分かり、さらに待つこと1時間。予定より2時間遅れで離陸した。水平飛行に移った頃、機内アナウンスが流れた。「今から機内体操を始めましょう」。乗務員の指示で乗客のほぼ全員がストレッチ運動に参加。もちろん私も参加し、固まりかけた筋肉をほぐすことができた。後で聞いた話によると、この機内体操、同社オリジナルの機内サービスとして定着、話題になっているという。2時間の遅れくらいは、許容範囲と割り切ったほうがよいだろう。

  Lccは飛行機ではあるが、その気軽さはむしろバスや電車の感覚に近い。最近は自治体や交通各社、民間企業との連携企画など、安さだけでない多様なサービスが進化を遂げつつある。予約はネット上であるため、最初は操作に戸惑い、焦ったすえに有料の座席指定、有料の預け荷物を申し込んでしまうこともあり得るが、何事も経験することが肝心だ。乗ってみたいと思うなら、まずは予約方法に慣れることから始めてみよう。


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