REPORT「地デ研の今後のあり方」に多様な意見・提案
潮騒冬号(2016年1月発行)掲載の主張「地域デザイン研究会の存在意義は失われたか?」の問題提起を受け、事務局および潮騒編集委員会が当会員を対象に実施した「地デ研の今後のあり方~意見・提案募集」の調査結果がまとまった。社会環境の変化、メンバーの高齢化、当会運営の財政的事情などを踏まえ、会員各位の思いなどを把握しようと実施、19名から回答が得られた。調査では、①存在意義②事業活動③分科会活動④情報発信⑤組織運営の5項目に対し、「現状」と「今後のあり方」を意見・提案という形で回答してもらった。また、地デ研に参加した目的、自由意見についても記述してもらった。調査結果を今後の活動・当会運営に役立てるための第一歩としたい。(文責:「潮騒」編集委員会)
■存在意義過半数の回答が「存在意義あり」としている。その理由として、地域、まちづくりについて分野・属性の異なる会員が集い多様な視点から意見交換ができる場であること、またその成果を情報発信してきたことを挙げている。 今後の在り方については、会員の減少、高齢化を背景に、研究対象を現在のメニューを基本とするものから自然災害や福祉分野への展開提案がある。また地デ研の立ち位置としては、3割の回答が他組織との交流を深め、地デ研がその分野のプラットフォームとなることを挙げている。また会員の意見交換・親睦の場ととしての機能を挙げている回答が2割弱ある。
自然災害に備えたまちづくりを考えるのも存在意義となる!(kat) 外部評価の確認を! 立ち位置の明確化を! 他のNPOとの連携を!(odo) 異なる組織に所属する会員同士が地デ研をプラットホームにー(kam) 大阪府内限定テーマを目標に!(yan) 多様な活動維持は困難なため、現在のメニューを基本に!(oka) 会員交流の場へと軸足を移す!(kon) 高齢化社会を前提に、福祉分野を意識した活動を!(shi) 活動内容を絞り込んで、活動成果を世に問う。(mat) 経験、知識を若い世代へ!地域づくりへの意見交換、親睦を! 事例等の議論共有を! 大局的、高所からの視点を明確化し、関係者にも情報提供を! (tat) 地域活性化活動の接着剤の役割を!(tan) メンバーが思いついたことをやったら良い!(iwa) 都市のニーズに応える活動が存在価値!(hos) 都市計画で社会に役立つことがNPO地デ研の使命!(mit) 関西圏の地盤沈下が進む中で、ますます存在価値が高まる。(nak) 同類組織との連携・サポート活動で存在意義を高める!(mae) 他団体・NPO等との交流を!(tom) ■事業活動
半数の回答が、シンポジウム、フォーラムの実績を評価している。今後とも継続すべしとの意見とともに具体的な展開提案(フィールド・人・組織に着目したフォーラム等)がある。受託調査はその意義と苦労を評価しつつ、身の丈にあった活動を提案している。
現地シンポ等の成果を分析・検証し、いまの勢力で可能な行動計画を!(odo) 視察的活動を含め継続を! 積極的な補助金確保を!(tat) 現地シンポ、フォーラムは継続すべき!(mat) 地域連携、産学官連携の場づくりを!(iwa) 受託業務は、会員負担になるようなら毎年実施しなくてもよいのではないか!(kat) 住民意識動向調査を!(yan) 交通システム等のニーズ、調整課題を受託調査できないか!(shi) 経験を活かした都市問題への助言・提案を!(kan) 適正化計画の認可都市とのディスカッションを!(hos) 営利を踏まえた受託調査が必要!(koy) 他団体とのフォーラムを!(tom) ■地デ研への参加理由
複数回答において、参加理由として、人脈・NWづくりや懇親(14)、自己研鑽(7)、まちづくりへの貢献(6)、情報入手(3)、恩師等からの勧誘(2)となっている。地デ研設立の目的「情報交換と親睦を図りつつ、新たな地域づくりに貢献」を体現したい人たちが会員となっている。
助成金獲得への努力を!(kam) 講演会・フォーラムは会の御旗。どちらか年1回は行いたい!(kon) テーマの絞込みが必要!(mae) 講演会は、身近な地域問題と考える場として、一般人が参加しやすい工夫を!(tan) ■分科会活動
約4分の1の回答が活動中の分科会を評価する一方で、全体として活動が縮小していることを指摘する回答がある。都市計画PJ分科会への期待、自然災害対応についての分科会提案、またゆるく、気楽な親睦中心の分科会立ち上げの提案がある。
同じ趣向を持った会員親睦の継続を!(tat> 旦那文化研、都市計画PJ研を含め、多くが参加できる分科会を!(mat) 都市計画PJ研は、今後の存在価値を左右する活動!(hos) 自然災害対応を目的とした分科会ができたら、まちづくりへの実務的発信が可能!(kat) 受託調査を踏まえた再編成を!(koy) 賛同者が講師を招いてセミナーを開くなど、気軽な枠組みが必要!(tom) 動いていない分科会も事務局が支援するなど、個々に対応!(kam) 地域デザインに役立つ旦那文化・和文化研究を続けたい!(tan) まちづくり」をキーワードとした、ゆるい分科会結成を!(kon) 親睦を主とした活動展開を!(kan) 楽しく自己研鑽できるものは継続。自然発生的な新規立ち上げもよし。うまくいかなければ消滅もやむなし。財政的支援は重要!(nak) ■組織運営
会員数の減少とその高齢化への危惧、事務局のご苦労への感謝に触れた4名の意見がある。若い人の加入推進や(事務局)業務の分担の提案がある。
メンバーの適切な役割分担を!(kam) 懇談、資料集約が可能なスペースを!(shi) 若い会員を増やす方策として大学関係者に期待!(hos) 若い人材を巻き込んだ運営を!(mat) 業務分担を複数、かつ明確に!(yan) 自然災害対応を目的とした分科会ができたら、まちづくりへの実務的発信が可能!(kat) 賛同者が講師を招いてセミナーを開くなど、気軽な枠組みが必要!(tom) 動いていない分科会も事務局が支援するなど、個々に対応!(kam) 地域デザインに役立つ旦那文化・和文化研究を続けたい!(tan) 会員が高齢化したことをメリットと考えた上での運営を!(mit) 資金と会員のマンパワーとが組織継続のカギ!(kon) ■情報発信
潮騒、HP(ホームページ)については、会員の交流ツールとして10名が評価する一方で、発信力は不十分とする意見もある。今後については、3割の回答から継続を求めつつも現状維持への懸念やブログ活用などの提案がある。
- ノウハウを持つ人が必須!(tat)
- 若手の投稿、個人的な思い、体験談など、軽めの紙面掲載を!(kat)可能なら継続すべき!(mat)
- 出版による主張の明確化を!(tom)
- FBでも発信を!(tan)
- HPを土台にブログ、FB等での発信を!(kam)
- 潮騒は回数を減らしてでも継続を!(mae)
- 時事の話題も!(mit)
- 社会経済情勢を踏まえ、今後の在り方を提言することは重要! 書籍化による成果の発信を!(oka)
- 会員の大半がリタイヤした結果、情報へのアクセス、情報発信力低下は否めない。(kon)
- 潮騒の内容は高度であり、継続を!(hos)
- HPは会社看板のようなものであり必要!(kon)
- 異分野集合体であるため、多様な意見発信が可能。(nak)
■自由意見
自由意見欄の記述内容を見ると、地デ研の継続を希望し、そのための会員の増加策についての意見が5名、活動テーマについての提案が6名、「門は広くそして楽しく」等の地デ研の在り方提案が6名ある。 無作為に選んだ数件の意見・提案を誌面スペースの許す範囲内で要約(無記名)として掲載する。
- 会員数が長期低落傾向。一方で情報発信力(量でなく質)は出てきている。若手新規会員の勧誘は、大学の先生方を巻き込んで、学生・大学院生が参加したくなる分科会を。
- 2010年当時の議論「地デ研をバッサリ変える」の点検を。また、活動成果を集約した冊子「地デ研まちづくりブック」に、在り方へのヒントがあるはず。背伸びしない範囲で今後を考える必要がある。
- 都市計画技術者間のネットワークづくりを。
- 多様化の現実を認識することが必要。
- ネットワーク型組織なので、これをやりたいという人が手を上げて、参加したい人が参加するシステムづくりを。
- コミュニティの在り方(自助・互助・共助・公助,協働、合意形成、信頼、平等など)を考えるべきではないのか。
- 「門は広く そして楽しく」。人と人、地域をつなぐお手伝いを。
- ゆるい制約のもとで続けていくことが現実的である。
- 若手も参加したくなる魅力ある活動が必要。
- 活動費の増収に向け、企業会員の募集を。
- 活動会員の獲得に向け、企業会員から数名の職員を参加してもらい、その業界の課題などをテーマとしたセミナー・勉強会の開催を。
- 当会活性化のために、若い会員の参加を得て調査、調整、提案等に取り組める活動を検討したらどうだろうか。
- 自分に関係する地域、フィールド、仕事から課題を見つけ、プロジェクトの提案を。