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「せこい」ーふるさと納税に思うこと

 「せこい」。あまり使ってこなかった言葉であるが、今、ふるさと納税のありさまを見ていて、最も響きがぴったりな言葉のように思う。

 「せこい」とは、日本俗語辞典によると「客種が悪い・景気が悪い」といった意味で、「的屋、芸人が隠語として使用。これが関西を中心に一般にも広まる中で現在のような、細かくてケチなことや、ずるいこと、現代では主に金銭的なことに使われるようになった」とある。

 ふるさと納税の趣旨は、都会で働いている人が、自分の故郷や故郷のように思える地域を応援しようといったものであるはずだ。それが今、高額納税者も巻き込んだ節税、返礼品の争奪戦になっている。各地の返礼品の新作カタログを鵜の目鷹の目で探し、申し込んでくる。買物は各地へのふるさと納税ですべてしているといった「自慢本」まで出版される始末だ。

 ここまで来たら、制度欠陥は差し置いて、日本人(納税者)のせこさ、恥のなさを嘆きたくのるのは、私だけではないだろう。(T・O)


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