REPORT
2017年現地シンポジウム彦根の魅力アップをめざして
「歴史・地域資源を活かしたまちづくりin彦根」を開催
(潮騒版)
今年度の現地シンポジウムは2月4日、昨年度に引き続き彦根市(会場:彦根商工会議所大ホール)で行われた。一般社団法人近畿建設協会の支援事業「歴史・地域資源を活かしたまちづくり」の一環として行われたもので、今回の趣旨は、人口減少や少子高齢化が進む中、いつまでも住み続けたい”まち”をつくるためには、歴史、地域特有の資源を掘り起こし、まちづくりに活かしていくことが重要と考え、いままで調査してきた大阪府域に加え、彦根においても歴史・地域資源の発掘とその活用等について考えようと企画した。前半は講師4人による講演、後半は講演者と5人が加わり、コーディネーター役を地域デザイン研究会の平峯悠理事長が担当してパネルディスカッションを行った。
シンポジウムへの参加者は83名にのぼり、地域デザイン研究会からは岩本、岡村、鎌田、小山、田中、新島、平峯、前田、松田、道下、宮内、柳田、山本の13名が参加した。
(文責:岡村、前田、鎌田)
プログラム
(司会)アニマトゥール弘報企画 代表 道下弘子
<講演>
①「歴史・地域資源を活かしたまちづくり」 平峯悠(地域デザイン研究会 理事長)
②「彦根の地域資源を活かしたまちづくり」 濱崎一志(滋賀県立大学副学長/人間文化学部教授)
④「地デ研から視た彦根市」(貝塚市との比較と提案) 岡村隆正(貝塚市地域整備監)
・テーマ「;彦根の今昔、もっと豊かに面白く」
・パネラー 彦根;濱崎一志、谷口徹、戸所岩雄(建築家、計画工房IT)、和田一繁(彦根市議会議員)
地デ研;岩本康男(都市活力研究所顧問)、田中賀鶴代(京都観光おもてなし大使)、前田秋夫(泉北高速鉄道取締役)
・コーディネーター 平峯悠
(閉会の挨拶) 岩本康男
市民による活動が大事である。彦根商工会議所でも、谷口先生をコーディネーターとして歴史ヒストリア講座をやっている。歴史資源の保存・活用にかかる費用負担については、行政、民間、あるいは市民によるファンドが考えられる。歴史資源の保存活用だけでなく、付加価値をつけて経済効果を生むようなことをあわせて考えるべきだろう。若い世代に、定住、移住を促すような取り組みが必要だと思う。
●歴史・地域資源を活かしたまちづくり 平峯 悠
人口減、少子高齢化が進む中、地域を停滞させないため、地域の歴史や資源を活用し、人々の交流を促進し、自分が住むまちに誇りを持ち、いつまでも住み続けたい街をつくることが必要。
平峯 悠氏<地域・歴史資源を生かすユニークな取り組み事例>
伝統的風土保存型:京都府美山町や岐阜県白川郷など
地域資源産業化:四万十市や島根県雲南市、徳島県上勝町の葉っぱビジネス、ニセコはパウダースノー、岡山県真庭市など
オリジナル地域創造型:長浜市の「黒壁スクエア」
人材先端産業集約型:徳島県神山町。住民主体で、芸術家やIT技術者を呼ぶことに成功した
個別歴史資源再生型:高槻市八丁畷・富田林寺内町など
イベント創造型:枚方市での、五六市、東海道56次ということで、手作りで200店ぐらいが出店する。また、枚方市内の名所をバスでめぐるイベントも実施している
産業観光施設型:大阪の池田で、安藤百福の業績を記念した「インスタントラーメン発明記念館」、年間50万人が訪れ、工場見学ができる。アサヒビール吹田工場、サントリー山崎工場
居住環境整備型:豊中市、高槻市、枚方市楠葉・香里など良好な居住環境があるところ
<まちづくりを実現するための基本的事項>
まちづくり施策や資源を共有する
まち全体の「移動」や「交通」を考える
まちの骨格づくり(道路・鉄道、公園・駐車場施設)
雇用や仕事につなげる
人々が住み、集まり、交流するまちへ
●彦根の地域資源を活かしたまちづくり 濱崎一志
地域文化財は地域の中ではぐくまれてきたもの。それを地域資源として活用し、地域のアイデンティティを明確にすることなくして個性的な町づくりはできない。彦根の地域資源はお城・城下町だけではない。「やま」「さと」「まち」「うみ」の4分類で捉えられる。
濱崎一志氏<「やま」山村と廃村>
彦根では廃村が多い。整備すれば地域資源になり得る。カイコを飼っていたと思われる作りもあり、イロリとカマドが見つかることがある。
<「さと」かっとりの里としょうずの里>
彦根は鈴鹿山脈から、芹川、犬上川が流れ扇状地を形成、水は伏流水となって地下を流れる。そのため、揚水機場が、明治以降大正まで使われていた。また、厳しい水争いの結果、構造物で分流割合を固定化したかっとりの里もある。
<「まち」城と城下町>
町屋は近江八幡と違って、1階を半間前に出す。2階が後ろへ下がっているので、通りが明るく感じる。伝建のはなしょうぶ通りでは、この作りが57%あった。
長屋形式の町家は、3戸1棟 境壁を共有 相似形と対称形がある。
足軽屋敷は5間10間50坪の土地に、玄関に座敷が設けられ、奥にはプライベートな生活空間がある。
辻番所。足軽屋敷磯部邸の中にある。現存唯一の施設として貴重。
農家は普通の田の字型の間取りにかまどなど備えているが、「桶風呂」が残っているところがある。こういったものも地域資源となる。
ヴォーリス関係の建物も地域資源となり得る。民間の方々が活用されている。
これらの地域資源を、合わせ技で活用することが期待される。
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