2017年現地シンポジウム

彦根の魅力アップをめざして

「歴史・地域資源を活かしたまちづくりin彦根」を開催

 (潮騒版-3) 

パネルディスカッション

<取り組み>


戸所氏と和田氏

谷口氏と岩本氏

○銀座商店街の再生・高度化(戸所):

  バッファゾーンには人々の生活がある。昭和30年代に近代化した銀座街を彦根の住まい、佇まいを活かした、単なる商業施設ではない多様性や多機能を持った複合街区として再生することを提案する。

○学生は小さな外交官(和田):

  彦根には、3大学があり、約6,000人の学生がいる。その学生達と手作り市を年1回やっている。学生は小さな外交官で、彦根の魅力を発信してくれる。彦根で就職することもある。毎年新しく入ってくるので新しい情報を発信してくれる。彦根に住んでもらうための空き家の利用システムなどが必要。

○京阪神、その先にあるものの魅力(岩本):

  京都とか奈良とか神戸のまだその先にあるまち、自然、文化、これが一番東京人にとっては魅力的であり、それを上手くネットワークしてもっとPRしたら、さらに関西の力が上がると思う。

○彦根の財産は彦根人(田中):

  彦根の地域資源・財産というのはずばり、彦根人であると思う。ただ、この素晴らしい財産が外の人にもしかしたら発信がうまくできてないのではないかと感じる。

○近江鉄道は大きな資産(前田):

  もっと住みやすいまち、観光客に来てもらうまちにするためには、近江鉄道が大きな資源と思う。そのためには、

<提言と提案by平峯(下の囲み参照)>

◆提言と提案

  1. 関西圏各都市との連携をめざす
    • インバウンド対応
    • 関西圏全体での魅力づくり
      大阪、京都、滋賀(大津・石山→近江八幡→彦根→米原・長浜)の連携
  2. 彦根市の中心、コア、ゲートウェイを創る
    • 景観創生条例
    • 鉄道駅(JR,近江鉄道)の再生
    • 新たなコアづくり
  3. 交通の充実を図る(日常生活のため、観光客の足として)
    • 歩いて楽しい街、さるく、観光歴史資源を巡る
    • 交通と歴史・地域資源の一体化を図る
    • 湖北バス、近江鉄道の再評価と活性化
    • 新しい都市交通手段の導入→電動車、レンタサイクル
  4. 彦根の四季を通しての魅力づくり
    • 1日楽しめる街、地域へ、宿泊してもらえる都市へ
    • 買い物・グルメ、もてなしの充実=住民及び観光客にとって
    • 彦根の自然の楽しみ方と発信、武家茶道、湖東焼等の体験
      →もてなし文化の創生
  5. まちづくりの役割分担と組織づくり
    • 地域の魅力づくりに貢献するNPO活動
    • 都市の将来を描き方向を示す行政
    • 交通事業者及び民間企業の責任と新たな役割
    • 組織化し実現するための「コーディネーター」「専門家」「リーダー」の必要性
    • 外部からまちづくりを評価する

(「歴史・地域資源を活かしたまちづくり・イン・彦根」 平成29年2月4日 NPO法人地域デザイン研究会)

○彦根市が指向する方向は:

  観光に特化か、住んでいる人が良いと思うまちにするのか。観光特化という場合、城下町だけでいいのか、多賀大社のほうはどうか、中山道の鳥居本とか高宮地区というのはどう考えるか。○街道と商店街の繁栄:彦根道、朝鮮人街道といった当時の交通政策により、花しょうぶ商店街とか銀座商店街、京町商店街が繁盛していた。それが今かなり難しくなっている。

○地域の4つの資源:

  商店街の活性化を図りながら、しかも観光客を呼び込みながらということで、地域の4つの資源、

  全体を含めてこの都市をどうしていこうかと考えるのか。私は全体から考えるのが良いと思う。

○姫路の場合・富山・長浜の場合:

  姫路は山陽新幹線の駅ができるということを前提に戸谷市長(都市計画の専門家)が長年温められていた「大通り」を実現した。富山市も、北陸新幹線ができるとき、長年温めていた市長がLRTを実現した。長浜は、快速が止まるようになって、そこからまちの変化があった。だから、まちの変化を促すきっかけが欲しい。ところが、今の彦根にはそういう劇的なものはないと思われる。内部で色々なことを考えて提案するしかない。

○彦根市の中心、コア、ゲートウェイを創る:

  私からの提案は、新たなコアをつくりませんかということ。銀座商店街のところか、キャッスルロードの辺りなのか、駅前か。

○歩いて楽しい街:

「長崎さるく」というのは面白い仕掛けで、歩いて、学んで、そういう巡回するようなことを考えるということが一つの大きな方針になる。

○環境都市(小山):

  スイスのチューリッヒなどでは、手前の駅で全て車をシャットアウトしてしまう。そうすると、土木工事も全て電気乗用車、環境にやさしい、環境都市として、都市が十分成り立っている。

○電動車のようなものは?(平峯):

  彦根の道路というのはよくできているし、交通量もたいしたことがない。そこに何か新しい電動車みたいなものが導入できないか、世界的にも日本の都市の中でも珍しいケースになるのではないかと思う。

○案内地図・案内書の充実:

「彦根の四季を通しての魅力づくり」として、買い物とかグルメとかもてなしの充実、そのための地図を作ったり、案内書を作ったりということが必要と思う。

○近江鉄道を意識した案内(濱崎):

  伝建のパンフレットで、花しょうぶ・芹川商店街の通りの先には、近江鉄道の「ひこね芹川駅」があるということを、パンフレットに明記すべき。そうすれば、回遊ルートも成り立つ。

○歴史・文化資源を回遊するルートを(谷口):

  立花通り、中央通りは江戸時代は内町大通りと言っていたメインストリート。かつてはそこに、伝馬の機能があって荷物の継ぎ送りがちゃんとあった。それが銀座通り、花しょうぶ通りへと、繋がって、そこにひこね芹川駅がある。お城からずっと回遊していくルートがごく自然にある。○彦根の文化景観・文化環境に根ざした観光(戸所):観光と生活の二者択一という話があったが、第3の道として、彦根のもつ文化景観・文化環境・人々の生活・佇まいを愛でる人向けを重視すべき。いわゆるワイワイガヤガヤという観光は、彦根には似つかわしくない。

○近隣地域と連動した観光産業(和田):

  地域資源を活かすのは、観光産業だと思う。それと、地域間の連動、多賀、長浜、米原。近江鉄道の活用。

○空き家の活用(谷口):

  活用できる空き家がいっぱいあると思う。すごい美術工芸品などが普通にある。

○世界遺産をどう活かすか(平峯):

  世界遺産はすごいことだと思うが、それはゴールではない。観光と生活を両立させるということから、彦根の方向を決めていく事が大切。そのためには、商店街をどうするか、人が集まりやすいところになっているか、検討する必要がある。


田中氏と前田氏

濱崎氏

岡村氏と平峯氏

○伝建地区の活用(平峯):

  伝建地区にある花しょうぶ商店街が、今後どうしたら人を集めることができるか、これはものすごく大きな課題と思う。

○地元NPO等が担い手(岩本):

  観光と生活の質を高めるには、彦根にお住まいの方々、彦根で活躍するNPOの方々が担い手になり、活躍することが必要と感じた。○彦根のNPO活動(平峯):12万都市の中にこれだけのNPOの組織があって活動されているというのは、例を知らない。

○行政・交通事業者・民間企業の役割(平峯):

  都市行政、交通事業者、民間企業の皆様の方向性、役割分担について、コーディネートしていく必要がある。

○外部からまちづくりを評価する(平峯):

  外部からまちづくりを評価するということも、積極的にやっていく必要がある。

○おもてなしの心(田中):

  彦根の人のもてなしの心は素晴らしいが、それが「見える化」されていないのは、もったいないと思う。例えば、武家茶道や湖東焼、足軽屋敷の体験ツアーなどの案内システム(案内パンフとガイドさん)を充実するとか、変身して衣装を着てまちが歩けるとか、いろいろあると思う。

<彦根の皆さんから一言>

○(谷口):今回で終わることなく、これからもどんどん彦根のほうにお越しいただいて、色々なアドバイスをいただければと思っている。

○(和田):最終的にはやはり、地元がどう動くかだと思う。

○(戸所):経済性とか遊興性だけに頼っていた価値観が、少し彦根らしい文化、本物の文化に根差した価値観が、さらに高まっていくと思う。

○(濱崎):学生をどう定着させるか、地元で何を学生達にやらせるかというところがウエイトが大きくなっている。

●来年も継続(平峯) 

  歴史地域資源を活かしたまちづくりというのは、来年も続けようと思っている。いくつかのまちと交流することを考えている。その時に彦根の皆さんをお呼びしたいと思う。その時に本日の結果がどう進んだか、こういうテーマでまちづくりが進められた、という報告をぜひお願いしたい。

●閉会の挨拶(岩本) 

  関係者の方々に深く感謝します。私ども大阪から来たものはすごく感銘しました。いずれまた私どもが再びここに寄せていただくのに、何らかの形でこのテーマをまた皆さま方と深堀りできたらということを強く願望いたします。また、地元自治会の夏川様には企画段階から大変お世話になりました。ありがとうございます。

●懇親会

  シンポジウムを終え、花しょうぶ商店街にある「鳥羽や旅館」で懇親会を実施した。参加者は、出演者を中心に16名。彦根:田中、谷口、戸所、濱崎、深谷(彦根市)、和田、地デ研:岩本、岡村、小山、田中、平峯、前田、松田、宮内、栁田、鎌田 実務担当者も参加いただき、より活発な懇親会となった。




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