連載企画

ゆけば・・・

フェリー12時間の旅

金田徳藏

 先日、S美術協会の秋の写生旅行に九州の平戸方面に行くことで、Y氏と下見に行くことになり、6月10日泉大津港午後5時30分出航のフェリーに乗ることとした。車で5時に、乗り場の駐車場に着いた。前には数台並んでいるだけで、小雨がパラついているが静かである。

 係員から窓口で乗船手続きをするよう指示があり、S氏が窓口に走った。同乗者が乗車のまま乗船するためには、特別に許可が必要で、車は1運転手のみが原則のようである。

 手続き終了後、ガランとした駐車場から係員の誘導で乗船してビックリ、船倉には、トラックが所狭しと並んでいた。トレーラーは前の運転部がなく、荷台部だけが並んでいる。我々が指示に従って停車すると、乗車口が閉鎖された。どうやら最後の車である。

 乗船をしてから乗船券を見て理解できたのだが、「出航1時間前に乗船手続きを終えて下さい」と記載されていた。船室は料金によって様々な室があり、我々の室は、20人ほど入る2段ベッドで窓のない室である。振動もなく船は岸壁を離れた。船内には風呂やレストランがあり、乗船慣れしたトラックの運転手などは、町の銭湯に行くように風呂道具を持参して風呂に行き、レストランでは持ち込んだビールや酒を楽しんでいた。

 夕食後、Y氏と明日の下見を打合せ就寝した。新門司港に到着後、写生候補地を回り、平戸のホテルに宿泊、2日で600キロを走行。往路での反省から、午後4時30分に新門司フェリーターミナルに到着、帰路についた。


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