ゆけば

酒蔵のまち伏見を訪ねて

大田俊美

大阪市役所のOB5人で春と秋に大阪周辺の日帰りウオーキングを行っている。10月に酒蔵のまち伏見をウオーキングしたので寄稿させていただく。今回伏見を選んだのは、最近年齢とともに甘口のお酒が飲みやすくなり、甘口のお酒ということでは「女酒の伏見」といわれていること、また伏見という街が大阪の近くにありながら名前だけであまり知らないということで行ってみることとなる。

京阪中書島駅に10時に集合。見学した場所のうち、月桂冠大倉記念館、寺田屋、三十石舟乗場(京都と大阪を淀川経由で行き来)、御香宮神社(伏見名水の御香水あり)について紹介する。

<中書島駅~月桂冠大倉記念館>


月桂冠大倉酒造の酒蔵

中書島の駅を降りて駅前の商店街を歩くと、飲み屋さんが多いのにはびっくり。想像するに酒造の街で従業員も多く、お客もそこそこ多いのではないかと思う。地名に「南新地」という表示もあり、「北新地」を思い出す。しばらく行くと大倉記念館に到着。並んだ白壁土蔵の一角が記念館になっている。入館料は1人300円であるが、お土産に1合のお酒ボトルが付き、試飲もできる。試飲では「月桂冠レトロボトル吟醸酒」が甘口でワインのようで、大変飲みやすくおいしかった。

<寺田屋~三十石舟乗場>

寺田屋は伏見城の外堀だった濠川(ほりかわ)のすぐそばにある船宿で、薩摩藩の定宿である。坂本龍馬も定宿として利用しており、龍馬の恋人のお龍が養女となっており、龍馬が襲撃を受けた際、お龍がいち早く龍馬に知らせ一命をとりとめた宿である。寺田屋は京都市街地の中にあると思っていたが、京都市の南の伏見にあることは知らなかった。伏見の街の歴史を振り返ると、伏見の街は秀吉が伏見城の城下町として建設し、その後伏見の町衆が濠川に着目し物流の拠点として発展させていく。角倉了以により京都から高瀬川が開通すると、伏見は京都と大阪を結ぶ重要な都市として、また東海道の宿場町として発展。薩摩藩、土佐藩など多くの藩邸があり、三十石舟が行き来して繁栄を極め、お酒の需要も多かったと思われる。三十石舟の船着き場には「龍馬とお龍 愛の旅路像」があり、龍馬は襲撃を受けた際の傷の治癒のため鹿児島塩浸温泉にお龍と旅立ったとのことで、日本で最初の新婚旅行と言われている。

<御香宮神社の御香水>

この後、日本名水百選に選定された御香水が湧き出る御香宮神社にお参りし、御香水を頂いた。伏見は昔「伏水」と書かれ、桃山丘陵をくぐった質の高い伏流水が豊富で仕込み水となっている。

<ウオーキング最後の温泉>

いつも最後に温泉に入ることにしており、今回も近くの「伏見力の湯(スーパー銭湯)」で汗を流しお酒を飲み懇談。今回は伏見を舞台とした歴史を垣間見ることができて感慨深かった。伏見のお酒のことも勉強でき、今後伏見のお酒を飲むときはこれらのことを思い出しながら飲めるのではと思う。


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