私の一冊

知らなかった、ぼくらの戦争

アーサー・ビナード:編著

小学館:発行

推薦者:鎌田 徹

筆者は1990年にアメリカの大学を卒業し来日、1997年に日本女性と結婚。その義母が「決戦日記」をつけていた。義母に取材したのがきっかけで、その後多くの人の戦争体験を取材しラジオで発表。それを集大成したのが本書。アメリカ人でありながら日本語に堪能で、俳句の「季語」の言葉も記されている。 例えばその義母の話では、1945年2月に女学生ながら軍需工場に動員され、軍事機密厳守、不良品を絶対ださないことなどを体験した。1945年8月には空襲があったとのこと。

異色なことは、GHQに勤めていた人からのヒヤリング。朝鮮戦争の最中で、米軍兵士の家族からの安否確認に対して返事を書いていたという。延べ23人からヒヤリングをしている。歴史教科書には出てこない、リアルな声を直接聞いているところに意味がある。戦争体験者がどんどん減っていく中で、この本は大変貴重だと思う。


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