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旅ゆけば・・・

都市を訪ねる(2) ~松江市~

平峯 悠


小泉八雲居館
 「怪談」などで知られる小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は来日後、英語教師として明治23年松江市に赴任した。その後熊本や東京に移り住んだが、特に松江市はお気に入りで熊本には良い印象を持たなかったらしい。私にはその違いを知りたいということもあり、松江市を訪れたのが2007年7月であった。

 駅前から運行されている市内循環のコミュニティーバスに乗り、県庁・市役所、城下町、小泉八雲記念館、松江城、宍道湖などを見て歩いた。松江市の魅力は、1つは「水の都」、即ち宍道湖とそれに連なる多くの川が景観を創っていること。2つは、城下町の景観を今に残していること、それは文明の象徴である鉄道敷設による城下町への影響が少なかったことによる。小泉八雲の居館は松江城(千鳥城)の近く、城下町建設時に造られ日本の道百選に選ばれている「塩見縄手」の沿道に残されている。

 松江市の人口は約19万人であるが、明治11年には3.6万人、全国16位の大都市であった。以後の伸び率は小さく現在は約170位ではあるが、これからの成熟した個性ある街づくりの規模としては極めて適切で、水と緑、宍道湖の夕日等の自然、城下町という歴史的資産、島根大学という教育機関、農林水産資源など小都市にあってこれだけの都市要素が整った都市は少ない。足らないのは活動要素である。

 松江市は今後の都市づくりのモデルになると思うが、どのように認識しているのであろうか。


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