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貨物線の旅客化「おおさか東線」全通へ

新大阪~放出 新規開業で利便性期待

大戸修二

大阪東部地域を南北に走る城東貨物線の旅客化「おおさか東線」で、未開通区間だった新大阪~放出間が3月16日に開業する。既に部分開業している放出~久宝寺間とあわせ新大阪(大阪市淀川区)~久宝寺(東大阪市)間20.3㎞の全線が開業するわけで、新幹線拠点駅の新大阪駅へのアクセス向上など、鉄道ネットワークがさらに充実することになる。

おおさか東線は、旅客化を図るため「城東貨物線」の施設や用地を活用しながら複線化・電化を行い、新大阪から大阪東部地域を経てJR大和路線の久宝寺駅に至る旅客線を整備するもので、建設事業主体は沿線自治体やJRらが出資する大阪外環状鉄道株式会社。今回の新規開業区間である新大阪~放出間には「南吹田」、「JR淡路」、「城北公園通」(=左下の写真が完成パース)、「JR野江」の4駅が新設される。これにより新大阪~久宝寺間の駅は既設4駅を含み14駅となる。

旅客運行にあたるjRでは、新大阪~久宝寺間で各駅に停車する「普通」を運行するほか、大和路線と直通し、おおさか東線内の放出、高井田中央、JR河内永和に停車する「直通快速」を新大阪~奈良間で設定、新幹線と奈良方面とのアクセス向上を図る計画だ。

●目と鼻の先に「新駅」出現


城北公園通駅(パース)

沿道整備後

蕪村通り商店街
じつは新駅の1つ、「城北公園通駅」は私が平成元年から30年間住むマンションと30m程度の距離しか離れていない。まさに目と鼻の先に出現した新駅である。既設の城東貨物線は盛土高架方式で、つい数カ月前までは斜面に雑草が茂り、沿道には物干し台や植木鉢の数々、犬小屋、バイクや自転車などが占拠していて、それが当たり前の光景だった。開業が迫る12月頃からそれらも一気に除去され、真新しい光景(=写真)に変貌した。

駅ができて交通アクセスが向上するのは間違いないだろう。確かにそうだが、一方で駅周辺の町も活性化するのだろうかという疑問もある。同駅は西口が都島区、東口が旭区で、西口側には商店街が連なる。この商店街、戦後の昭和の時代には映画館や芝居小屋、公設市場を含む100軒ほどの商店が建ち並び、「大いに賑わった」と地元住民は当時のことを懐かしそうに語る。江戸中期の俳人・画家の与謝蕪村発祥の地にあやかり、十数年前には蕪村通り商店街と改称し、賑わいづくりが盛り上がったようだが、代替わりもあってか、現在の同商店街(=写真)はシャッター街の様相を呈しているというのが現実である。

いずれにしても私の趣味の1つが旅行。平成最後の新駅設置、それも歩いて2~3分程度の場所に出現したのを見逃す手はない。数年前から愛用しだしたJR青春18切符を使って、大いに旅を満喫したいと思っている

鉄道・人道併用だった赤川鉄橋

  

今回の開業区間には淀川を渡河する「淀川橋梁」がある。複線下路ワーレントラス・18連構造で、全長は610m。地元では「赤川鉄橋」、「18門鉄橋」という愛称で呼ばれてきた。1929年(昭和4年)に複線構造で建設されたが実際に敷かれたのは単線のみ。空いた線路空間に設けられたのが板張りの歩道仮橋である。今回の旅客化工事に伴い2013年10月末、80年以上にわたり周辺住民に利用された仮橋は閉鎖された。私も大阪在住後にこの仮橋を頻繁に利用、貨物列車が轟音とともに迫ってくる大迫力に魅了された愛好者の一人である。(写真は歩道併設当時の状況)


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