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旅ゆけば・・・

都市を訪ねる(6)~敦賀市

平峯 悠


大正期の敦賀
近くにありながら訪れること少ない敦賀市。大阪から特急で1時間20分、新快速で約2時間である。明治初期の鉄道建設の約8割は関西が占めたが、これは幕末までの物資輸送の中心であった日本海から琵琶湖を経由して大阪・関西に集中する物流の機関として鉄道が考えられたことによる。その日本海の中心市が敦賀市である。

何回かは訪れたもののあまり印象に残っていなかったが、明治期の鉄道の背景を知るために再度訪れた。デザインには工夫の見られる駅前広場や道路の整備が進んでいるのはわかった。しかしコミュニティーバスに乗って市内を周回してみると、気比神宮、気比の松原、赤煉瓦通り、お魚通りなど魅力のある拠点が散在するものの、もう一つ街としての魅力に欠ける。第二次大戦で大空襲を受け、戦災復興区画整理が行われた街並みは整然としているにもかかわらず活気がない。何故か?道路が広すぎる!


駅前通り
人口6万4、522人の都市としては道幅が広すぎるのではなかろうか。駅前には広大な駐車場ビルがあり、広い道路の路側には駐車帯が設けられ車での生活は大変便利であり、店舗や施設の中には人々が集まっているが、街には人影がまばらである。

福井県は世帯当たり自動車台数が全国1位であり(1.9台/世帯)、その中でも敦賀市は2.1台/世帯と極めて高い。なぜこれほどまで車に依存する必要があるのか。都市生活と車、道路、公共交通の在り方を考えさせる街である。敦賀市の港や豊かな日本海からの恵み、古くは松前船の主要寄港地であり昆布の加工産業を持つ歴史的な都市が、北陸新幹線の開通を契機にどのように活気を取り戻すのか。昔の港町のまち並みから学び、車依存を是とするのではなく、縮小期の新しい都市づくりの方向を見出してほしいと願うものである。


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