REPORT
建設進む「北大阪急行線の延伸事業」(千里中央駅～箕面萱野駅
地下鉄御堂筋線と江坂駅で接続し千里中央駅までを営業している北大阪急行線。千里中央駅の北方、箕面市萱野方面に向け約2.5㎞の延伸事業が数年前から開始され、建設工事は最盛期を迎えている。延伸事業のうち中間駅（箕面船場阪大前駅）から箕面市方面を担当している箕面市地域創造部に依頼し、同事業の概要、現在までの進捗状況、今後の駅周辺まちづくりなどについて寄稿していただいた。
箕面市地域創造部鉄道延伸室 馬場健一
■延伸事業の概要
同事業は、江坂駅から千里中央駅まで運行中の「北大阪急行南北線」を千里中央駅から国道423号に沿って北へ約2.5km延伸するものです。
最初に停車する箕面船場阪大前駅は地下駅となることから、駅周辺開発として整備するエントランスと地下部で接続し、箕面萱野駅は高架駅となって国道423号をまたぐ既存の歩行者デッキ「かやのさんぺい橋」や、商業施設と接続することとなります。
■事業スキーム／整備主体
同事業では、１本の延伸線を鉄道事業法と軌道法の２つの法律を適用して整備する手法を取り入れ、鉄道事業法適用区間を鉄道事業者である北大阪急行電鉄（株）が、軌道法適用区間を箕面市と北大阪急行電鉄（株）が整備し、建設費は北大阪急行電鉄（株）、国の社会資本整備総合交付金および地方（大阪府および箕面市）が負担するスキームとなっています。
そのためインフラ部（土木構造物）については、千里中央駅から箕面船場阪大前駅手前までの区間を北大阪急行電鉄（株）が、その以北を箕面市が整備し、レールや電気設備などインフラ以外の鉄道設備については、全線を北大阪急行電鉄（株）が整備します。
■現在までの工事進捗状況
2014年度に概略設計を実施して以降、2015年7月に環境影響評価を終え、同年12月に大阪府および箕面市において都市計画決定を行うとともに、国から鉄道事業法の許可および軌道法に基づく特許を取得しました。2016年度に都市計画事業認可や各種工事施行認可を取得して以降、本格的に工事に着手しました。
シールド掘進状況(発進部)
換気所・躯体構築状況＜千里中央駅～箕面船場阪大前駅＞
この区間は地下区間となることから、全線をシールド
工法でトンネルを構築していきます。2019年9月に箕面船場阪大前駅南端部を発進し、日進約10mで千里中央駅に向けて掘進しています。また、駅間に設ける換気所については、2019年度末に地下部の構築を終える予定です。
＜箕面船場阪大前駅部＞
地下駅となる同区間は国道423号沿いを開削工法で施工を進めており、すでに掘削作業を終えて駅躯体の構築段階に入っています。 今後は駅躯体の構築が一定完了次第、北大阪急行電鉄（株）による軌道・建築・設備・電気・信号・通信をはじめとするインフラ外工事を進めていく予定です。
駅躯体構築(国道423号から)
駅躯体構築＜箕面船場阪大前駅～箕面萱野駅部＞
同区間はほとんどが高架構造となり、現在は全区間の基礎工事をおおむね終え、橋脚の築造、橋桁の製作を進めています。今春には、国道171号を跨ぐ橋桁（全長73m）の架設作業を行う予定であり、現在、その準備を進めているところです。
橋脚築造状況
橋桁架設準備(国道171号跨道)
基礎部築造(箕面萱野駅部)■各駅周辺のまちづくり
箕面船場阪大前駅周辺 複合公共施設(イメージ)＜箕面船場阪大前駅＞
箕面船場阪大前駅周辺は、新たな「文化とビジネスの拠点」となるべく、まちづくりを進めています。
▽2021年春オープン予定：複合公共施設（文化ホール、図書館、生涯学習センター、駐車場）とそれらに接続するメインデッキ、デッキ下駐輪場
▽2022年春オープン予定：新御堂筋をまたぐ歩行者デッキ
▽2023年度オープン予定：駅前広場、機械式駐輪場、駅北側出入口、駅南側メイン出入口
＜箕面萱野駅＞
箕面萱野駅周辺については、鉄道の開業と合わせて、新たにバスターミナルやタクシー乗り場、地下駐輪場を整備するとともに、市内のバス路線の再編を行うことによって新駅を中心とした市内交通の充実を図っていきます。また、バスターミナルの
上空を立体使用した新しい施設を造るなど、まちの一層の魅力向上を図ります。
箕面萱野駅周辺のイメージ■今後の予定
現在、鉄道工事は最盛期を迎えており、今後は建築工事や電気工事、更には各駅周辺まちづくりの工事も本格化していくなど、多くの関係者間での工事調整が不可欠となってきます。そのような状況下でも、安全を第一として円滑な事業進捗を図り、2023年度の鉄道開業および駅周辺のまちびらきに向け、関係者で引き続き協力して取り組んでまいります。
