MEMBER'S SQUARE

旅ゆけば・・・

都市を訪ねる(7)~小田原市~

平峯 悠

 江戸時代、小田原藩の城下町であり「入り鉄砲に出女」の箱根の関を管理する宿場町、さらにいつまでも結論を得ない会議を揶揄(やゆ)する古事「小田原評定」でも有名な小田原市は、現在では箱根駅伝の中継地としても知られる。しかし私にとっては、東京出張の新幹線の中から小田原城が一瞬見えるという通過都市であった。この秋、たまたま熱海で集まる会合があり、そのついでに小田原市を散策した。

小田原市駅へ降り立ち、見回して驚いた。首都圏の郊外都市そのものという印象である。小田原駅と駅前広場、繁華街などに老若男女を問わず多くの人々があふれ、活気を呈している。小田原市を周回するバスが運行しており、一日乗車券500円を購入し乗車する。市内1周50分のルートを観光ボランティアの人が案内・説明をしてくれる。小田原城付近はもとより城下の街並み、しゃれた飲食店、若者好みのショップ、秀吉の一夜城址公園付近などで20万都市とは思えない賑わいを見せている。その結果、周回バスも事業採算がとれているという。首都圏に近いという条件の良さもあるが、好感の持てる優れた観光都市である。

江戸時代小田原藩は譜代大名による守りの要となっていたが、同じように彦根藩が西国からの守りの要衝であることとも共通している。比較すると観光入り込み客数は小田原市が700万人を超え、一方の彦根市(人口約13万人)は300万人である。有名なお城を有する城下町でありながらその差を感じる。まちづくりへの取り組みがその差になって表れていると思う。一昨年の彦根市でのシンポジウムで指摘・提案したように、特に観光で生きていこうとするならば、外部の目で見て比較・評価し施策に反映する重要性を再認識した。


小田原駅から城を望む

城下町並み

HOME   潮騒目次

inserted by FC2 system