MEMBER'S SQUARE

旅ゆけば

八尾(やつお)・風の盆

~STUDY21初回の踏査を振り返って~

高岡邦彦

 分科会活動「STUDY21」の第1回現場踏査は、富山の八尾にきまった。2004年9月1日~3日の間、かの地では有名な遅れ「盆」行事の「風の盆」が催されるとのことで、その日に日程をあわせました。八尾の中心市街地は、緩い岡の上に発達しており、盆踊りが展開する道は、その尾根筋にある商店街の中心通りである。

本通りは11町会に区分されていて、町会ごとにほぼ20人からなる踊る集団とお囃子集団を出している。観光客が集中しないようにか、どの町会の集団が何時にどこで踊りだすのか、一切掲示していないため、バスガイド付きの観光客以外は、音のなる方へと中心商店街を北へ南へと勝手に推測して動き回るものだから、商店街の混雑は並大抵のものではなかった。

女性の踊り手は町会ごとに揃いの浴衣を着て、顔を見られないようにか、編笠を深くかぶって優雅に手脚を動かし、ゆっくりと進行してゆく。一方男の踊り手は、衣装はお囃子連中と同じで濃紺の法被を着て、下は同色の股引をはいており、前襟には風の盆振興会と町内会名を白抜きで記していた。

お囃子連中は、男ばかりで横笛と胡弓等からなり、両楽器とも物悲しい音色を基調としたメロディーを奏でていた。本通りは敢えて光量を低くし、幻想的な雰囲気を創出していた。だから「夜目・遠目・笠のうち」なる条件の下、女性の踊り手はみな美しく見えたが、笠の中を下から見上げたり、休憩でたむろしてるところを見かけると、大体が女子高校生で、20代半ば以上の者はいなかった。

男性は主に音曲担当なので、それなりの経験が必要とされるからか、女性群より年齢は上だったように思える。本来なら秋の涼風が吹いているはずだが、人出が多すぎて全く感じられない。でも薄暗い明りの中で歌われる、やや物悲しい詞を聞いていると、やはり盆歌だなぁと感じた。

初めての土地で一行のだれも土地勘のないところで、町会ごとの踊り始める時刻や場所については、メンバーの中尾君が人ごみの中を分け入って、地元の人から仕入れた情報を、我々一行に伝えてくれた。彼の見知らぬ人と接触して、情報を得る努力には大いに感謝したし、彼のこの面での秀でた能力には驚かされた一夜でもあった。


HOME   潮騒目次

inserted by FC2 system