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「おおさか東線」全通から1年

大戸修二


法隆寺にて
大阪東部地域を南北に縦断する「JRおおさか東線」(新大阪~久宝寺間20.3㎞)が全線開通して1年が経過した。既存貨物路線を活用した複線・旅客化という懸案ロジェクトは沿線に何をもたらし、地域では何が変わりつつあるのだろうか。

ガード下の絵

絵の作業中

おおさか東線の整備は2期に分けて進められ、南区間の放出~久宝寺間(9.2㎞)は2008年に開業、残されていたのが新大阪~放出間(11.1㎞)で、新たに4つの駅ができた。潮騒(2019年冬号)にも紹介したが、私が住むマンションの至近距離に「城北公園通り駅」ができた。

新幹線拠点駅の新大阪駅までは8分、北新地駅へは鴫野駅乗換えで17分、いずれも片道180円で行ける。奈良方面への利便性も格段に増し、久宝寺駅(東大阪市)で大和路快速に乗り換えればそれでよい。開業直後の昨年4月、奈良・法隆寺へ出かけてみた。桜満開の時期で、全国からの修学旅行生の一団(=写真)にも出会った。

新駅設置と周辺地域の活性化が気になるところだが、焦る必要はないと思う。「城北公園通り駅」前に今年3月、やっとコンビニができ、人の流れが少し変わった気がする。同じ頃、駅横のガード(架道橋)下に若者達が集まり、なにやら準備を始め出した。聞くと、彼らは放送芸術学院専門学校(大阪市北区)の学生達で、区役所とまちづくり協議会の要請を受けてガード壁面に絵を描くという。その日から20人前後が交代で描画に取り組み、2週間後には鮮やかなアート作品を完成させた。テーマは「歴史を紡ぐ、まちを紡ぐ、人を紡ぐ」。 同地区は江戸時代の俳人・蕪村出生の地で、このガードの西方には「蕪村通り商店街」が連なる。寂れかけていた商店街の活性化にも期待してみたい。


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