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私の一冊

スノーデン 日本への警告

エドワード・スノーデン、青木 理、井桁大介、金 昌弘、ベン・ワイズナー、マリコ・ヒロモ,宮下 紘

推薦者:鎌田 徹

 元CIA職員、NSA職員だったスノーデンは2013年5月、香港においてイギリスのガーディアン紙記者グレン・グリーンウォルドに対し、自らが所有する機密情報を暴露した。この様子は「暴露~スノーデンが私に託したファイル~」byグレン・グリーンウォルドに著されている。

今回の推薦書は、その後2016年6月4日に東京大学本郷キャンパスで行われたシンポジウム「監視の“今”を考える」の記録を書籍化したもの。

1983年生まれの彼はアメリカ軍、NSA、CIAを経て、NSAと契約を結んでいたDELLに入って、NSAの諜報活動に携わっている。

彼が暴露したのはマス・サーベイランス。無差別・網羅的な監視。グーグル、などのインターネット・サービス・プロバイダや、ネットワーク・コミュニケーションのシステム、インフラ、光ファイバー回線、衛星などの設備を提供する通信事業者などに協力させて、個々人、企業、行政関係間のメール、インターネット閲覧、電話通信記録、携帯の位置情報を所得し、記録する。これらにより、個人の行動様式、思想の状況が丸裸になる。ジョージ・オーウェルの「1984年」を想起させる。

「特に目立った行動を起こさなければ大丈夫」という気になれば、それが権力者側の意図に即しているといえる。

 スノーデンが身の危険を冒しても、このような暴露に踏み切ったのはなぜか。彼は「子供時代にギリシャ神話を読みふけり、大きな影響を受けた」と述べていることから、それが彼の価値観を形成していると思われる。


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