ペンリレー
「生活するゆとりを支える居住機能」
八千代エンジニアリング 石塚 裕子
突然ですが、昨年末をもちまして「まちとゆとり*居住機能分科会」の主査を交代させていただくことになりました。「まちと居住機能分科会」から数えますと約4年近くも主査をさせていただきました。
頼りない私を支えていただいた副査の方々を始め、みなさまには本当にお世話になりました。この場をかりてお礼申し上げます。
分科会では「まちとゆとり」「まちと居住機能」について、これまで数々の議論をしたり、フィールドワークをしたりして来ましたが、私はいつも、「私ならここに住みたいと思うだろうか」と自分の生活に置き換えて考える様に心がけて来ました。
当研究会で「ゆとり」や「居住機能」について勉強し、且つ仕事でも「まちづくり」の専門家を目指しているのですから、せめて自分自身の生活の場は満足のいく、納得のいく「まち」に住んでいたいと思っています。
ここで、現在私が生活している「まち」の中でゆとりを演出していると思われる機能について整理してみたいと思います。そこで、日頃の生活で便利!、楽しい!と感じていることを思いつくままに以下に挙げてみたいと思います。
(( )内は主機能を示しています。コモンは本来「公」と「私」の間の空間を示し、集合住宅の中庭などを意味することが多いようですが、ここでは公共空間についてもあえて「コモン」と示しています。)
●雨の日も風の日もずぐに通園できる「24時間対応型託児所」がマンションの1Fにあること(福祉)
●新鮮で多様な食材、お総菜が充実したマーケットがあること(商業)
●小児科が充実した総合病院があること(医療)
●何気なく散歩できる公園や緑道があること(コモン)
●気候の良い日に気軽にお弁当などが広げられる空間があること(コモン)
●座り心地のよい椅子のある図書館があること(コモン)
●海や山が見えること(景観)
●インテリアショップやセレクトショップ(服屋)があり、買い物が楽しめること(商業)
●おいしいパンとケーキのお店があること(商業)
●エアープランツの専門店など個性あるお店があり、おしゃべりも楽しめること(商業) また、以上のすべて徒歩圏にあることが最大の魅力になっています。
改めて自分が日頃感じていることを一つずつ挙げてみますと、私が特に趣味がないせなのか、もしくは買い物がストレス解消になっているせいなのか、商業機能に関することが多いように思われます。
人が快適に住む街には多様な機能が必要で、しかもその「質」が問われていると思います。商業機能を例にとっても、ただ食料品や日用品が買えるスーパーがあればいいのではなく、個人の好みで選択できる「選択性」とそれを支える「人の質(売り手も買い手も)」が重要であると感じます。
また、快適な住まいは必ずしも「いつかは庭付き一戸建て」である必要ななく、充実したコモンスペース(共用空間)があり、それを上手に利用できる「人」であれば生活するゆとりを感じ、コミュニティを育むくことができると思います。
ちなみに私は「経済的ゆとり(高額家賃)」と「空間的ゆとり(住居の広さ)」を多少なりとも犠牲として、「生活するゆとり」の方を選択し、またそれを享受していると感じて生活していることを最後に付け加えておきたいと思います。