〜分科会報告〜
第1回・まちと個性
主査 茂福 隆幸
「まちと個性」の分科会では、まちの個性化について
@今なぜ、まちの個性なのか。
Aまちの個性とは。
Bまちの個性を構成するもの。
C実現化の方策。
D官民の役割分担。などの視点から、その意味を問い直してみたいと考えています。平成11年3月からはシリーズでの取り組みとして、類似する個性を持つ都市のフィールドワークを行い、それらが形成された風土や歴史などを比較し、まちの個性のあり方を考えてきました。
第1回古いまちなみを残したまちの個性<大阪市平野区vs富田林市寺内町地区>
第2回密集市街地におけるまちの個性
<大阪市生野区南部地区vs寝屋川市東大利地区・萱島東地区>
第3回ニュータウンにおけるまちの個性<香里ニュータウンvsトリヴェール和泉>
第4回都市と旧集落の共存にみるまちの個性
<大東市御領地区vs大阪市福島区西野田地区>以上の4回のシリーズで行ってきました。
とりわけ、12年度については、ニュータウンにおけるまちの個性として関西でも最も古い団地の一つである香里ニュータウンと、今でもまだ開発中の新しいまちであるトリヴェール和泉のフィールドワークを行い比較してみました。香里ニュータウンの印象としては、南斜面の立地特性が生かされ、緑も育ち成熟したまちであり、センター施設には土曜日ではありましたが、人と車が溢れて活気がありました。すでに、建て替えが始まっており、まちとしての体裁(景観)は良くなってきている感じがしました。
トリヴェール和泉は香里ニュータウンに比べて計画のウェイトが相当ソフト側にシフトしており、いろいろ考えられているという印象を受けました。ただ、香里ニュータウンのセンター施設に比べると、人も少なく脆弱に思えました。戸建て住宅ゾーンについては、道路にレンガやインターロッキング舗装が施されており、又、開放的な前庭も設けられ、見た目はすばらしい街並みですが、逆に個性がつくられすぎてる印象を受けました。
次に、都市と旧集落の共存にみるまちの個性については、まちに残る環濠を地域資滞(個性)として旧集落の街並みとともに区画整理事業により次世代に残そうと、官民一体でまちづくりに取り組んでいる「大東市御領地区」と、都心近接ながらタイムスリップしたかのような戦前の家並みが残る路地のまちである「大阪市福島区西野田地区」のフィールドワークを行いました。
この2地区については特に比較ということは出来ませんでしたが、御領地区では地元の方(旧家)と市の職員の方に説明を聞き、水と共生する水郷の町である御領の歴史と地元の方の愛着心がよくわかりました。事業についてはこれらを考慮して、環濠に囲まれた歴史的町並みである旧集落については残し、その周囲を土地区画整理事業により道路や公園の整備を行っており、官民が協力しあったまちづくりの印象を受けました。
西野田地区は戦災に遭わず、戦後、土地区画整理事業が実施されていないので、あらゆる活動が停滞し、まわりの世界から取り残されている感じがしました。下町の路地空間で見かける植木鉢に使われた古い火鉢や、路地に敷き詰められた敷石・レンガ、道端の地蔵堂や祠などは、ニュータウンにはない懐かしいディテールが見られ、心がなごむ気がしました。
このシリーズについてはこれで終了し、次回からは新しいシリーズに取り組んでいきたいと考えおり、先日それについてのアンケート調査を行いました。その結果、「地形・位置」、「景観」、「住民参加」、「環境」、「高齢化」、「中心市街地」等をテーマ(キーワード)に、関連する都市のフィールドワークや話題提供により、まちと個性について考えていきたいと思っております。
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今後の活動は、現地フィールドワークを第1土曜日、ミーティングは第2火曜日とし、原則隔月で行う予定です。分科会会員並びに興味をお持ちの方のご参加をお待ちしております。