ペンリレー
「まちづくり条例」
制定に向けた市民ワークショップ
兵庫国道工事事務所 川上卓也
最近、私の住むT市において新たに「まちづくり条例」を制定するにあたり、一般市民によるワークショップよる市民の意向を反映した条例づくりが試みられた。市の広報による一般公募により選ばれた市民(応募者全員(?))が数回程度市役所に集まり、市職員からT市の町づくりの取り組みや市の将来計画について説明を受けたうえで、市民としての「まちづくり」に対する意見を交換し、市民としての提言を行うというものであった。
T市としてもはじめての試みであり、どれくらいの人が参加し、どんな意見がでてくるのか市の職員も期待と不安でいっぱいであったにちがいないのだが、参加した市民もまた何をすべきなのか具体的なイメージが無く、少し緊張のうちに始まった。
さて、自己紹介も終わり、「まちづくり」について日頃感じていることのフリートークになると少しずつ雰囲気も変化してきた。参加者はそれぞれに「まちづくり」への思いを持っていて、日頃から不満と感じていることを行政へぶつけることからはじまった。
T市のようにベッドタウンとして急速に人口が増えた都市では、次々とマンションが乱立し、旧住民にとっては生活環境の破壊や道路拡幅や下水道整備等の遅れが大きな問題であり、市民がこれらのことに対して意見を言う場が無かったことも不満であったようである。また、市民のなかには古くからそこに住んでいる人もいれば、転勤族と呼ばれる色々な都市に住んだ経験がある人もいる。不満に思うこと、要望したいことは多種多様である。しかし、話が進み「これからどうしていくべきか」「どうしたいか」という話になると少しずつ共通した話題がでてきた。みんなが自分の住むまちを良くしよう、住みやすくしようと色々な提案をするなかで多くの共通点が見い出されてきた。
それぞれに住んでいる環境や状況は違っていても、みんなこのT市が大好きで、このまちを良くしようと思っている。参加しているみんながそんな人たちのようだった。
一方で、こうした取り組みは、従来の進め方に比べ市職員の担当者にずいぶんと負担がかかっていたようである。夜間や休日の会議への出席もさることながら、担当外の業務についても調べて後日報告するなど、思わぬ負担も生じたのではないかと思われた。
こうして、このワークショップの初期の目的であった市民参加でつくる「まちづくり条例」の作業は進んだわけであるが、市民のあいだで真剣にまちづくりを考えているひとたちがいて、その声が市民の声として行政に届いたことは多いに意義があったと思う。
肝心の「まちづくり条例」は制定に向けて順調に作業が進められているようであるし、このワークショップの結果については市の広報においても紹介された。このり一クショップに参加したひとだけではなく、多くの市民が「まちづくり」に対しての想いを持っているに違いなく、これからも市民が参加できる(参加する)まちづくりを期待したいものである。