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マンション管理組合を通じて思うこと

銭高組 曽川尚司

 昨年から地域デザイン研究会に入会し、まちづくりについては、まだまだ見識が浅いのが実情でありますが、建設業ということもあり、まちづくりという観点からみると、関わり合いがあるのかなという気がしています。

 今回のテーマについて何がよいのか迷いましたが、私自身、マンション管理組合の理事をしている関係もあり、また、あまり皆さんが体験しないようなことでもあるので、マンション管理組合の実態と役割について紹介したいと思います。

 今住んでいるマンションは、昨年6月に建設され、世帯数155戸(4棟)の新築マンションです。管理組合は7名(理事長1名、副理事長1名、理事4名、会計1名)で運営しています。発足したのは今年の2月からで、最初の組合役員の選出は管理会社が行い、私自身もひょんなことから理事を依頼され引き受けたのが始まりでした。最初は、理事という肩書だけで何もしなくてもよいのだろうと軽い気持ちでいましたが、いざ組合が動きだすと、いかにマンション運営において重要な役割を果たしているのかを身をもって痛感しました。

 マンションを購入する際に、不動産売買契約書とか、規約集等々が渡されますが、その内容をきちんと読んで理解していないと、後悔することもありますので十分に注意された方がよいと思います。こんなことまで書いてあるのか、といったことがよく分かります。

 マンションは、いろんな人の集合体であり、自分だけよければそれで良いといった考え方は通用しません。すべて、基本となっているのが「管理規約集」であります。管理組合の役割としては、住んでいる住人が安全で、かつ快適に過ごすためにはどうすればよいのかを最優先に考え、住民の意見を反映し、とりまとめて理事会で決議し、総会で承認を得ます。現在、理事会は毎月1回開催し、いろいろな問題(例えば、駐車場・駐輪場の空きをどうするか、植栽の管理や手入れの問題、近隣の騒音等の問題、ペットの問題等々)について議論していますが、なにぶん155戸の大所帯であるので管理組合の活動について何をしているのか知らない人も多く、認識が薄いのが現状です。

 大きな問題としては、ペイオフ解禁によるマンション修繕積立金があります。住民みんなで毎月払っている修繕積立金を預け入れている金融機関が破綻した増合、マンションの修繕ができなくなってしまうことです。対策としては、リスクの分散として1つの銀行ごとに残高が1千万円を超えないよう複数の銀行に分散するか、または郵便振替口座にするかの手段くらいしかなく、先行き不安定な状態であります。

 もう1つの問題としては、マンションの管理会社に対する管理の問題があります。今はIT化も進み、玄関やエレベーター内等にすべて監視カメラが設置されており、その分、管理人の負担も軽くなり質の低下が目立っています。組合から管理会社に対して再三注意を促しますが、あまり向上は見受けられません。マンション管理適正化推進法の施行で改善されつつあるとの記事を新聞で読みましたが、期待したいものです。

 管理組合の役割として以上の様な問題を一つ一つ議論し、解決策を打ち出して、住民が安全に且つ快適に暮らせるよう努力しています。ある意味で1つの小さなまちづくりに似たようなものではないでしようか。

 以上、マンションの管理組合の実態と役割について述べてきましたが、安全で住みよいまちづくりのためには住民すべての理解と協力が必要であり、特にお互いのコミュニケーションが大切であるということを感じました。都会では、隣近所との付き合いもなく、孤独に嘗らす傾向がありますが、人とのコミュニケーションは、より良いまちづくり、環境づくりにはなくてはならないものだということを、理事という体験を通じて痛感しています。マンション需要の多い今日においては、重要なことではないでしょうか。


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