NPOだより
地域デザイン研究会から、NPO法人地域デザイン研究会が2000年10月17日に生まれました。任意団体会員のみなさんのご支援を得て、諸事業を進めています。
今後、このコーナーでNPOの活動状況を報告していきます。
「西淀川地域の沿道まちづくりのあり方に関する調査」について
鎌田 徹
(背景)
2001年6月に、あおぞら財団((財)公害地域再生センター)より、「淀川公害訴訟の和解条項の中で、具体化され
ずに放置されている課題のひとつに、『沿道法を活用したまちづくり』があり、こちらから積極的に打ち出していきたいと考えている。ついては、西淀川沿道まちづくりのあり方について、知恵を貸してもらえないか」との申し出があり、NPO地デ研として受けることにしたものです。
調査は、あおぞら財団が中心となり、NPO地域デザイン研究会、神戸大学塩崎研究室が分担して進めることになります。
(参加メンバー)
2001年度調査の参加メンバーは、総括として平峯理事長の他、泉、岡村、小西、友田、中出、新島、前田、松島、山内、鎌田です。
(調査のながれ)
調査は、3カ年の計画で、最終目標は、「沿道まちづくりの提言案」を作成し、それに基づき、住民との対話、シンポジウムなどを通じ、発信、意見集約を行うことにあります。
2001年度としては、まず最初に、地元まちづくりを考える会等の関係者と懇談会を持ち、彼らの思いを聞きました。
その中で、出てきた問題意識は、
上からの計画ではなしに、地域住民の声を生かしたまちづくり計画を進めるべき。
道路公害は、今は随分とましになっているが、昭和39年頃は、工場と自動車の排気公害で昼間でも車はライトをつけて走るほどだった等。
昔は、トンボも飛んでいた。川に囲まれた西淀川であるが、鋼矢板やコンクリートの直立した護岸で水辺がほとんどない。
消防車も入れない密集地があるが、いいコミュニティもあった。出ていく人が多くそれが崩れつつある。
経済論理だけで、まちが変化している。住民で合意した全体構想を作って、まちを住み良い方向に変化させる必要がある。
高齢社会にあって、良きコミュニティを作っていきたい。
安全に動き回れるまちにしたい。
これらを踏まえ、調査は、幹線道路沿道の問題に留まらず、広くまちづくりの視点から進めることとしました。
2001年度調査としては、
○施策レビュー
まちづくりに活用しうる既存施策・制度の整理
○事例調査
住民参加によるまちづくりの事例調査
○区域内現況調査
まちづくりを考える関係者の意向把握
地価、人口(常住、従業者)の動向から見た、エリアの特性
幹線道路沿道の土地利用から見た現況と特性
(交通網の整備を契機として、土地利用の転換が進んでいる)○西淀川地域沿道まちづくりへの提言
以上の状況を踏まえ、まちづくりのコンセプト、対象空間、基本施策について、提言を行い、次年度以降の調査の方向を提案しました。
これは、本調査の核心部分ですが、説明するには、十分な紙面が必要であること、当事者間で現在調査進行中であることから、コンセプトの紹介にとどめます。
−まちづくりのコンセプト−
■ 最先端技術による西淀川環境地域の形成
国道2号(姫里3丁目付近)■ 新時代を先導するまちづくり
■ 地域からの計画づくり
■ 住民および地域伝統産業、西淀川に根ざす事業所による複合的地域づくり
(2002年度調査)
2002年度の調査は、上記の「提言」にもとづき、各対象空間(幹線道路沿道、居住環境地区、駅前街区、自然的環境としての水空間および緑地)について、具体的データも集め、整備イメージ、施策の検討を行う予定です。