“膵臓癌用語解説”脱稿

(財)大阪市土木技術協会  高岡邦彦

諸般の事情で、膵臓癌について調べなければならなくなった。いわゆる“家庭の医学”書では、半ページ程の説明があるだけで、殆ど役に立たない。

そこで現代の知的な武器“インターネット”を、活用してみた。日本ではウェブが4箇所位あったが,合計してA4・10ページほど。しかも難解な言葉の羅列で、少し読めば嫌になる。更に製薬会社のPRと思しきモノもあるし、放送済みのTV番組の紹介もあるが、何せ体系的ではない。

念のために英語で試みたら,さすがインターネットと医学と情報公開の先進国アメリカ、ドッとばかりにあって、精選するのが難しい。

そこで昔、創立経緯を読んだことのあるBaltimoreの某大学の医療研究所のものに的を絞った。解りやすい文章で、実に懇切丁寧に説明してある。自宅のパソコンは常時接続ではないので、画面で読み続けると高くつくので、適宜プリントアウトして読むことにしたら、全体の三分の一程度で、A4・100枚を超した。

知人が、「ネット会社に自動翻訳機能があって、ウェブそっくり翻訳可能」と教えてくれたので、早速トライしてみた。しかし、打ち出しに目を通して驚いた。間違いだらけもいいとこで、とても翻訳とは言えない.良くぞこう言うものを、「お使い下さい」と提供しているのにあきれ果てた。

仕方なく、必要な部分に限って、自ら訳すことにした。これが“膵臓癌FAQ(よくある質問)”で、A4でビッチリ12枚。

ただし専門的用語が、意外と頻繁に出てくるので、こちらもついでに訳すことにした。これが9月の連休の宿題となった。さらに解りやすいように図版も訳出したら、A4で14ページになった。これが“膵臓癌用語解説”。

しかし「医学の医の字も習っていないのに、わかるんですか?」と尋ねる人が出てきそうだ。まずウェブ製作者は、はっきり言っている。これは患者とその家族向けだと。特定の疾病の事を、患者(普通の人)が解らずに、どうして医療行為ができるのか。医者は、病気が何であり、主因がなにであり、治療方法に何があり、副作用がどんなのかを伝えて、準備なり,実施するなりの役割であって、病理と病気のレベルや治療行為の意義は、素人でも理解できるはずだと言うのが、私の弁。

とにかくこれで一応膵臓癌について、ある程度わかるようになったし、医者のゴマカシも解るようになった(医者からは嫌がられているが)。

だが当の本人に詳しく伝えるべきかどうかで、悩んでいる。医者のほうが完全なインフォームドコンセントをしていないのに、こちらがどうこう言うのは、やはりおこがましい。でも体力が徐々に衰えて行くのを、見ているのが辛い。入院費負担もこたえてくるようになってきたし、アメリカのこの病院に入院したいと言ってきたら、どうしようという懸念もある。

この歳になって、悩み多き秋を迎えねばならない……。


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