悠悠録

地球温暖化

地域デザイン研究会 代表 平峯 悠

「蚊は何故人の血がすきなのか」という面白い題名の本に、黄熱病やマラリアのウイルスを媒介する蚊の生息地域が気温の上昇と共に拡大し、さらにそのウイルス自体も恐ろしく強くなっているというショッキングな話が書かれていた。地球の平均気温が3℃〜5℃上昇すると患者数が年間5千万人〜8千万人増加するとも予想されている。

地球環境問題を広く意識させたのは1992年ブラジルで開催された「地球サミット」である。しかしアメリカの石油資本のロビイストや一部の学者は温暖化の根拠はない、不確定要素がありすぎると主張してきた。それに対して1995年、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が第2次報告書で「20世紀に起きた気候変動は人間活動の影響を考慮しないと説明がつかない」と結論付けたことにより、温暖化は動かせない事実と認識されている。

地球温暖化とは二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスが大気中に増え、地球全体の気温が上昇することである。20世紀に地球表面の平均気温は約0.6度上昇し、日本はそれを上回る約1度も上昇した。今後の100年間ではさらに1〜3.5℃上昇すると推測されている。その結果として2100年には海面が平均50cm(15cm〜95cm)上昇、異常気象(降水量の変化、台風の大型化、干ばつの長期化、砂漠化の進行等)、生態系の変化(絶滅種、食料危機等)などが生じる。またヒートアイランド現象と温暖化が重なると、大都市部での温度はさらに上がり20℃を超えるかもしれない。

これほどの地球的危機に遭遇しているのに、日本はじめ世界各国での取り組みや意識に差があるのは京都議定書批准を巡る議論を見ても良く分かる。地球温暖化は徐々に進む。従って気がつかない或いは実感がない、また百年先の心配より現在の対応が優先される。EU諸国は産業革命以降伝統的に環境意識が高く、地球温暖化に対しても真剣に取り組んでいる。新エネルギーの開発と普及、路面電車(LRT)の復活、自動車の規制・抑制、自転車の都市交通としての位置付け、炭素税の導入など見るべきことは多い。一方日本の場合、行政や企業の一部は既に先取りしてはいるが、政府は政策意思を明確にせず企業への義務等を課していない。自動車の利用抑制などは道路の必要性の議論の前では無力であり、公共交通機関の整備も採算性という従来の考え方から脱皮できていない。

縄張りや産業界の顔色をうかがっていては根本的な解決はありえない。地球温暖化対策は私達人類の共通の今すぐに手をつけねばならない重要課題として意識改革をし、街づくりにも「環境」を最優先させねばならない。

私自身の地球環境問題についての知識を試すため、(財)環境情報普及センターの地球環境クイズに挑戦してみた。入門コースから始めたが意外と難しい。皆さんもインターネットでクイズに挑戦し環境に対する認識を新たにされては如何ですか。


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