まちと中心機能分科会・まちと個性分科会 合同FW報告

「商店街の生き残りかたをかけた事業活動」

開催日時:平成14年11月16日(土)
場所:西新道錦会商店街(京都市中京区)

説明者:西新道錦会商店街振興組合 理事長 安藤宣夫氏

今回のFW(フィールドワーク)は、まちと中心機能分科会とまちと個性分科会の合同FWということで、両分科会とも初めての取り組みでした。当日の参加者は茂福主査、中出主査、中廣副査、高岡氏、新島氏、小西氏、芝内氏、中尾氏、奥野氏、平川氏、藤野氏、藤井氏、梶の計13名と合同FWということもあり多数の参加をいただきました。

午後2時に阪急西院駅に集合し徒歩で商店街へ向かいました。10分程で現場に到着すると、そこは予想に反してアーケードもなく、古めかいしい「ただの」商店街でした。

商店街を進んで行き、半ばを過ぎたあたりにある「商店街の食堂」(空き店舗を利用したお年寄りへの昼食サービス)で、今回の「キーパーソン」である安藤理事長から、ソフト事業日本最先端を走る商店街の“哲学とシステム”を約1時間半にわたって聞かせていただき、その後メンバーからの質問や意見などを受けて活発な意見交換がなされました。

西新道錦会商店街は、京都市の西のターミナル四条大宮から約1.5km、155組合員、7,500m2の商店街で、1 . 2 k m 2圏で12,000世帯40,000人が生活地域。70歳以上が約20%と高齢化も進んでいるが、最近は2世帯住宅や若年層のUターンもあり、人口は増加しているとのこと。また、この地域には、大型スーパーや商店街などの競合する商業施設が14もあるという中での、「生き残りをかけた事業活動」とはどういうものなのか、以下にレポートとしてまとめてみました。

大型店や安売り店との競争が激化する中で、商店街が生き残る道とは? 安藤理事長は、商店街の役割とは、「モノ」を売るだけではなく、地域に暮らすことの「安心」を提供すること、結局は「地域コミュニティの構築のもとで人間を理解した商売」と答えられました。地域密着型の哲学はここにあります。大型・専門店とのすみ分けで、「51%を我が商店街で買ってもらう」戦略を立てておられるとも話されていました。

ソフト事業では、88年からのカード事業の検討開始、92年エプロンカード(プリペイド方式)導入(会員数6,500人)、94年ファックスネット事業(会員数1,200人)、そして間もなくインターネットとテレビを組み合わせた双方向性の「生活支援ネット」を開始されようとしています。「店番商売」から「近代技術を使った御用聞き」へと変貌を遂げようとしています。

商店街組織としても非常に活性化しています。商店街の事業企画は、「もうけの機会はつくるがもうかるかどうかは個々の店の才覚次第」という考え方に基づかれています。海外旅行、ダンスパーティ、ファックスネット、エプロンカードなどの全ての事業で単年度決算、独立採算制が原則となっており、共同して競争力をつける、提案型組織を実践されています。

友禅の町、地場産業と共に栄えてきた商店街が、今度は商店街が中心となり地域を盛り立て、健全なコミュニティの構築と地域に根ざした商店街になろうとしています。商店街の空き店舗を利用した「商店街コンビニ」、お年寄りへの給食サービスなど、西新道錦会商店街は模索を繰り返しながら今後も発展を続けていかれることでしょう。

FW終了後に、京都錦市場商店街(京都市中京区)を散策し、その後某居酒屋にて懇親会を行いました。

まちと個性分科会では、「乾杯前のメモ出し」が義務付けされているため、メンバーは一心に?メモを書き、揃ったところでいざ乾杯!メンバーからは、(あまりにも強烈な)リーダーの後継者問題、空き店舗対策やハード面の整備等に関して意見がありました。懇親会では、FWの感想やまちづくりに関する討論が活発になされ、宴たけなわの裡に今回のFWも終わりました。

(まちと中心機能・まちと個性分科会 副査 梶)


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