大阪は創造都市になり得るか」

佐々木雅幸氏が講演

地デ研の通常総会が開かれた難波市民文化センターで5月25日、「大阪は創造都市になり得るか」をテーマに佐々木雅幸氏(大阪市立大学大学院創造都市研究科教授)が講演、総会に出席した約40人が聴講した。

閉塞状況がつづく日本で最近、困難な現状を打開するためのキーワードとして「創造性」が話題にあがっている。講演した佐々木氏は、日本の都市再生施策に「都市生活者の視点がない」と指摘、イタリア・ボローニャなどの具体例を示し、大阪の都市再生施策として「創造都市への挑戦が欠かせない」と強調した。

「創造都市」と賞賛されるボローニャは、世界最古の大学を擁する歴史都市でありながら、たえず新たな芸術や思想、産業を創造する力に満ちているという。

2000年には一大文化イベント「ボローニャ2000」の取り組みを成功させた。市民の文化権を確立するような文化構造を築くことを目標に掲げ、その際、@若い世代の市民の積極的参加A文化の生産と創造的発展をめざすB文化的観光都市としてのボローニャの地位を確立する―を重点とした。日本と対照的な点は、文化施設建設のために古い建物をスクラップするのでなく、内部には新しい機能を加えるものの、歴史的建造物の保存修復を徹底、文化財を保存して伝統職人の仕事を作り出す一方で、過去との対話の中から新たな文化創造をめざしている。(=佐々木氏資料を参考)講演の中で佐々木氏は、大阪の再生について芸術文化再構築の必要性を指摘。「USJはいわば消費文化。求められるのは創造文化であり、芸術家たちにこそ空間を使わせるという支援が必要」と語った。そしてクリエイティブな市民社会を醸成していく「大阪型都市戦略」の立案と展開を呼びかけた。


HOME   潮騒目次

inserted by FC2 system