都市再生、いや日本再生?

南海電気鉄道(株) 山部 茂

いまや「世界の工場」と称されるようになった中国の国際社会への進出によって日本の企業はシェアを奪われ、日本経済が大きく変貌してきていることはご存じのとおりです。モノの価格は信じられないほど安くなって、国内での製造が不可能なほどの値段で売られています。われわれ消費者の立場で見ればこれほど結構な話はないわけですが、今まで製造してきた国内のメーカーがどうなっているのか気になるところです。

最近、といっても1年以上たちましたが、会社を設立しました。社内ベンチャー的な位置づけです。自分が言い出したことなので、本体からの支援は資本金の支出ぐらいで、あとの手続きなどすべては4人の設立メンバー自身が行いました。監査役をお願いした社内の経理部門の人が「本当に手作りの会社ですね」と思わず述べるほどのよたよたぶりです。

地域デザイン研究会のメンバーには、自分で会社を設立して経営をされている方々も多いことですのでことの詳細は想像におまかせするとして、設立前あるいは設立してからお付き合いさせていただいたり、創業のきっかけを作っていただいた方々の中に、激動期にさしかかった日本でたくましく育ってきている小さな企業がいくつか見うけられます。

その中のひとつにパートナー企業の千葉県のベンチャー企業があります。社長は安定した職をなげうって50歳近くになってから創業された方で、私より2歳年上の方ですが、ある意味で中高年の起業の手本となる生き方をされています。自分自身が会社人生で精一杯努力して築きあげた経験を基に、仲間達と全く新しいタイプの会社を立ち上げられ、非常に情熱的な生き方をされています。

本人曰く「資金繰りの毎日で、さまざまなところから補助金をもらって食いつないでいる」そうですが、時代の方向性を信じて中央官庁や都道府県をはじめ、あらゆる方面に講演や委員会活動などを行いながら精力的に活躍されている姿をみると、われわれ中高年のリストラにおびえる姿などは小さく見えてきます。

その事業分野は大幅な市場縮小がささやかれる建設部門ですが、全く新しいビジネスモデルを提案しています。社員は現在12人で、このうちの4人はこの2年間に東大を出て海外の大学院を修了して就職してきた若手の技術者です。このような若者の就職を見ていると、新しい職業観が育ってきていることにも注目します。今までの大企業中心の就社ではなく、大きなステージを提供してくれる小さな成長企業に職を求める若者が着実に増えてきています。産業再生、いや日本再生にはこうした「かたち」が必要ではないでしょうか。

時代の変革を感じつつ、自社の事業にまい進していきたいと思うこのごろです。


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