コンクリート橋のあれこれ

日本高圧コンクリート(株) 寺田荘史

最近2歳になる子供が歌を歌うようになりました。 「きしゃ〜きしゃ〜しゅっぽしゅっぽ〜・・・鉄橋だー鉄橋だー〜・・・」。確かに鉄橋って多いですよね。歌詞にもなるくらいですから。特に大阪は、「難波八百屋橋」と言われるだけあって、多くの橋が架けられてきました。しかし橋にはコンクリートで出来たものもあるんですよ。鋼橋に比べてコンクリート橋の歴史はまだまだ浅いものです。鋼橋のように歌詞に残らなくてもいいから、皆さんの記憶に少しでも残ってほしいと思いながら、コンクリート橋について分かりやすく書かせて頂きたいと思います。

1.鉄筋コンクリート橋の歴史

コンクリートは、水・セメント・骨材などから構成されています。非常に単純な構成と言えます。コンクリートだけの橋は、石の代わりにアーチ橋で使われ、19世紀前半頃までさかんにコンクリート橋が建設されました。19世紀後半には鉄筋コンクリートが発明されました。鉄は圧縮力にも引張力にも非常に強い抵抗力を発揮します。そこで、コンクリートを鉄筋で補強しコンクリートを強くしようというのが「鉄筋コンクリート」です。コンクリートの中に鉄筋を埋め込むことによって、圧縮には強いが、引張りに弱いコンクリートの弱点が克服されたのです。また、鉄だけで作られた構造物は高価ですが、その鉄を少量取り入れることで、安価なコンクリートにも十分な強度を持たせることが可能になります。20世紀初期から鉄筋コンクリートは橋の材料として本格的に使われるようになりました。しかし鉄筋コンクリートでは、ある荷重以上を受ける事によって下縁にひび割れを生じます。このひび割れから塩分や有害物が入りこみ、コンクリート中の鉄筋を錆びさせしまいコンクリートの寿命が短くなってしまいます。「ひび割れの発生を防ぐにはどうしたら良いか?」と言う問題を解決したのがプレストレスト・コンクリート橋(PC橋)です。

プレストレスト・コンクリートは、コンクリートの中に埋め込まれたPC鋼材によって、コンクリートに予めプレストレスを与え、コンクリートを桁の両端からPC鋼線の引張力で強く締め付ける構造となっています。このプレストレスト・コンクリートを橋に応用することによって、径間が100mを越えるPCコンクリート橋が架けられるようになります。現在多く見られるコンクンリート橋はこのPC橋です。

2.PC橋の種類

@床版橋

主構造に鉄筋コンクリートやPC桁で作った床版(スラブ)を使った橋梁。単純ですっきりとした外観ですが、支間長20m程度が限界です。小規模な橋梁や桁高の低いことが要求される橋梁に使われます。

A桁橋

PC橋に採用される構造形式の中で最も一般的なものです。桁橋は車両や人々が通行する床版と、それを支える主桁から構成されます。桁橋は一般に構造が単純で軽量のため、施工も含めて経済性に優れています。

Bアーチ橋

アーチ橋は「眼鏡橋」での愛称の方が有名かも知れません。アーチ構造は圧縮力が荷重として作用します。コンクリートのように曲げには弱く圧縮力に強い材料に適しています。

Cラーメン橋

柱と梁を一体と成るように結合した剛な骨組み構造形式です。山間部谷間の橋梁や高架構造によく用いられます。ちなみにラーメンとは、ドイツ語のRahmenからきた用語です。

D斜長橋

主桁、主塔および斜材の3つで構成された橋梁です。PC鋼材とそのプレストレス力を有効に使った構造で景観にすぐれ、長スパンの橋梁に多く採用されています。

Eエクストラドーズド橋

従来桁高の範囲に配置されていたPC鋼材を桁の外側へ、大きく偏心して配置したPC橋で、これまでの桁橋に比べ大支間化が可能であると言う事と、建設コストの削減にもなり注目されている構造です。


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