インターネット広告の
公共広報への活用について

博報堂DYメディアパートナーズ
清水良郎

■伸びてきたインターネット広報

インターネット広告の現場にいて感じることは、特にここ半年、公共的機関のインターネット広告広報が増えてきたことである。道路行政では、工事広報、雪氷対策広報、都道府県では観光や環境の広報、そして大学が目立って増加している。国公立大学は今はわずかであるが独立法人化により、今後、急増すると考えられる。

これら公共機関は広告代理店1社に決めうちするのではなく、性格上10社くらいのコンペになるのが普通であるが、ここで、インターネット広告の扱いが勝敗の決め手になることが多い。それも表現だけではなくいくらインターネット広報に予算を割くかまで問われることも多い。本稿ではインターネット広報の効率的、効果的活用方法をまちづくりの立場から考えていきたいと思う。

■バリアフリーを達成したインターネット

現在インターネット利用人口は約7000万人で、そのうちブロードバンド利用者が約60%と半分を超えている。ユーザーの多くがインターネットを時間を気にせず利用して、必要な情報をじっくり探索検討している状況がここからうかがえる。女性利用者も約40%とバランスもとれている。

さらに1週間の媒体接触時間比率を見てみると、テレビ:58.9%、ラジオ、新聞、雑誌合計で17.8%、インターネット23.4%(ビデオリサーチ2003年6月調べ、東京30キロ圏のブロードバンド利用者)。利用頻度は1位メール、2位サイト閲覧、3位検索エンジンとなっている。つまりインターネットはテレビにつぐ第2メディアといえるのである。

また、モバイル利用者もほぼ同数の7000万人。こちらは15才〜64才までの男女75%に普及している。公共機関は「情報コミュニケーション」に障害がないバリアフリーメディアとしてインターネット広報を認めたといえるだろう。当然これらはみんな、双方向情報であることは言うまでもない。

■インターネット広報活用の実際

以上のようにパワーを持ってきたインターネット広報であるが、種類別に活用のコツやセオリーというべき物も多い。ここではその要点を簡潔に述べたい。

1) バナー広告

バナーとは小さな旗印の意味。実体はもうご存知だろう。今は、大型長方形、正方形、バナーが上下左右に伸びる「エキスパンダー」、動画などが目立ってきている。バナー広告を知る人はクリック率(全視聴者がバナーを押す確率)が低すぎることを懸念している(平均で0.2〜0.3%)。

しかし、この数字の重視は疑問である。(社)インターネット推進委員会の調査では、当該ページの全視聴者の約3分の1がそのバナーを覚えており、その広報主のブランド認知が10ポイント上がり、ブランド好意度も15ポイント上がっている。これは大きな力である。

まず、何かを新しく告知するときはバナー広報は逆に欠かせない。例えば、駅前のショッピングタウン、大型マンション、大型遊戯施設などがこれにあたる。掲載する媒体であるが、地域限定のものが増えているので、ケースに合わせて選定できる、例えばYahoo!JAPANの地域情報(都道府県別)は近畿2府4県合わせて、1ヵ月掲載で400万円、同じYahoo!の路線情報の到着駅に出るバナーは5駅単位で1ヵ月、15万円、読売新聞サイトの地域情報は1府県20〜30万円/月。朝日新聞サイトマイタウンタイルは13万/月と比較的手ごろな掲載料である。新聞の地方版と比べて欲しい。

さらにターゲットによっては、「@ぴあ」「ウオーカープラス」なども考えられる。また、大量出稿が欲しい場合には「バリュークリック」の関西地域配信がある。

1000万pvで140万円とお得である。(pvは露出回数=ユーザー閲覧回数)。

2) メール広報

個人に直接メールが届くので、施設オープン前の駄目押しに適する。DEメール、フルーツメールなど会員200万人以上のメールでは市単位、郵便番号単位の配信が可能なのでかなりの細かいターゲティングが可能となる配信単価は10円〜20円。HTMLメールなら写真も送れる。

3) ケイタイ広報

道路工事広報などで多用されている。ケイタイの機動性とクルマの相性がよいためであろう。当然、「阪神高速」などの場合、近畿2府4県の20才以上に配信するケイタイメールなどがオーソドックスな方策としてあるが、「すぐメル」という商品も注目されている。iモード、ezWeb、ボーダフォンライブの3キャリアを利用でき、英数3ケタに空メールを送れば道路情報のURLが送られて来るしくみである。英数3ケタなので「JH1」などの語呂合わせもできる。

4) 新しいタイプのインターネット広報

■インターネット広報プランの組み方

とりまとめるとインターネット広報のプランとして以下のパターンが出てくる。

新施設、観光地などの場合、まず、バナーで知名度、ブランド好意度をあげる。次に飛んで行くサイトで楽しくわかりやすく、説明する。(自社サイトの見直しは大変重要である)。最後にメールで来訪に駄目を押す。という型である。また、ケイタイ広告の場合即効性の勝負も可能である。例えば、「メッセージフリー」というしくみを使えば、大阪ドームの野球の場合、試合のある日の17時台に大阪市全域の20、30代の男女にメールを送ることが可能となる。

いずれにせよ、ケースバイケースで活用すればインターネットは大きな力になりうる媒体なのである。


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