まちなかアジトのススメ

(有)ハートビートプラン 泉 英明

 今、あるまちの面白いプロジェクトに関わっています。まちなかの活性化のため、興味のある人達にまちなか居住、まちなかアジトを持つ楽しみをPRすることです。主なターゲットは若者・DINKS、リタイヤ前後世代です。

 日頃の暮らしの中でよく感じるのは、ますますグローバルな世の中になり、世界のどこに行っても本当にわくわくするものを手に入れられなくなっている。本当にわくわくすることは、実は自分の頭の中から、仲間との話の中から、新たに創り出すことの中にあるのではないか、ということ。新たなものは、自分と異なる価値観や様々な人との出会いから生み出されていることは確かだろう。それには、多様な生活スタイルや業種、それをいろいろな形で発信する人が集まっているところがいい。今それがあるのはまちなかではないか、そこでコトを起こそうという提案です。 まちなかの活性化を考えることは、計画性のない都市拡大を抑え、山林や田園地域の保全、原風景の継承を考えることにもつながるのではないかと思っています。

 まちなかにこだわって暮らしている人達を発掘し、いろいろ意見交換をしました。「まちなかアジト×RENOVATION」というコンセプトで冊子にまとめ、PRすることとなりました。登場人物は、まちなかに住居や事務所を構える、仲間と隠れ家を持つ、行きつけのお店を持つなど様々なアジトを持ち、楽しく棲みついている人達です。まちなかにアジトを持つことを通じて、自分の生活・人生をリノベーション、既存建物をリノベーションされています。

 リタイヤ生活を多趣味に過ごし、会社勤務時代より忙しいという初老男性、定年後もできる仕事、そして現在の昼の仕事と両立しながら60歳までにスキルを高められる仕事をと考え抜いた結果、バーを始めた中年男性、仕事で単身赴任でまちに来て、様々な活動に関わっているうちにかけがえのない友ができ奥さんも呼んで移住した夫婦、入居者のいない幽霊ビルの再生を大家さんに託され、クリエーター仲間を呼び寄せ自分らでこつこつ改修し今は空室待ちの状態にまでした若者、オフィスビルのワンフロアを借り、自作のシャワールームを設置、多彩な趣味の空間として活用しながら仲間とホームパーティーも楽しんでいる若者、閉館した映画館をライブハウスとして生まれ変わらせたプロデューサーなど、みなさん自分の想像力・創造力を最大限に発揮されていました。

 大阪のまちなかは、マンション建設ラッシュで人口が増え都心回帰と言われていますが、新たなコトにつながっているかどうかは疑問です。また、大阪を動かしている人達は、まだまだ阪神間、北摂、奈良に好んで住んでいるのではないでしょうか。そのまちが好きな人、まちを動かしたいと思っている人、動かせる人がまちなかにアジトを持ち、そこに住み、そこでコトを起こすようになれば、まちは輝いてくると思います。 かくなる私も微力ながらそれに寄与できるよう、天六にアジトを構えて実験中。人の集まるおうちを目指し、古い木造建物を賃借してこつこつ大工仕事にはげんでいます。一緒に鍋のできるご近所さん募集中!


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