ペンリレー

 まちに「意」と「風」を

 アジア航測(株)大阪システム販売促進グループ
 立命館大学 歴史都市防災研究センター
吉村 方男

今流行の「都市再生」大規模再開発とか一般的に言われておりますが、「都市再生」について私は、どのような暮らしをしていきたいのかという一人一人の意識を実現することを認識し、行動に起こし、魅力あるまちを創り出すことではないかと思います。

よく欧米の街並みと日本の街並みが比較・評価され、そのなかでは日本の街並みへの評価には厳しいものがあります。米国の街並みは、歴史が浅いとはいえ世界のリーダーとしての自負が空間形成に寄与し、新しさや大胆さを受け入れていて、また、欧州の街並みは歴史的背景を熟知して生活を楽しむという基本行動が身についており、楽しさや歴史を感じるといった形で評価されることから「米国のような」「欧州のような」といった形で締めくくられていることでしょう。では日本はどうする!となったとき、まずは地域の歴史・文化・風土を再度十分理解することではないでしょうか。

振り返ると私自身も、他人(他国)に憧れを抱き、己を見失い、また都合の悪いことには目をつぶることがあります。ここで解決しなければならない課題は、己(自国、地域)の風(生活空間)を明確にもつということでしょう。つまり、個人としての「意」(意見)をもち、様々な人々と「意」を議論し、市民の「総意」として「風(生活空間)」の作り方を共有すべきでしょう。

この「意」には、@鋭い感受性をもった市民(消費者)、Aニーズから生まれる高い技術力、B様々な文化・風土を認識し受け入れる多様性の受容−の3つからなり、これらがうまく公共空間に活かされれば、一人一人の「意」が生まれ、それが一つの地域の「総意」となり、一つの「風」を持つこととなり、地域の発展・再生、さらには地域のブランドとなる。この考えが日本全国に広がれば、地域の風がさらにローストブレンドされ、味わい・深みのある(コーヒーではありませんが…)日本の都市ブランドが構築され、世界中から日本に訪れる方が増え、観光立国「ジャパンブランド」を目指す政策目標も達成されるでしょう。

したがって、都市再生とは身近にある課題であり、そのためには「公共空間を楽しむ」ことが必要でしょう。もっと公共の場で遊んだり、楽しんだり、売り買いしたりしてもいいのではないかと最近感じます。早朝にもかかわらず、目が爛々と輝いた人、小首を傾げて思いにふける人、人それぞれに空間を考えていただけているように思います。

日本の都市にも、欧米・欧州に負けないすばらしい空間があります。何の変哲もない場所であっても、小生のお気に入りの空間。その空間では心地よく・安らぎ・元気が沸いてきます。(ここでは伏せておきますが・・・)。是非、お気に入り「風(生活空間)」に触れてみてください。なじんだ風景も、視点を変えてみれば新たな発見があるかもしれません。

特に早起きは三文の得以上の効果をもたらすようです。さあ、外に出て都市空間の「意」を肌で感じ、「風」を感じてみましょう。


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