地球デザインスクールを訪問
17年度現地シンポジウム


<参加者の皆さん>


<説明する豊田玲子さん>


<炭の教室>(地球デザインスクールの資料写真より)


<廃校が活動拠点>

<整備中の公園予定地を見学>

<地球デザインスクール
桜井俊彦(右)さんから説明を聞く>

 地域デザイン研究会の平成17年度現地シンポジウムは9月3日、4日の両日、京都府丹後半島の豊かな自然環境をフィールドに自然と共生した持続可能な地域社会モデルづくりに取り組んでいる「地球デザインスクール」を訪問して行われ、同スクール関係者の方々からさまざまな取り組みを聞くとともに、現場見学や意見交換を行った。

  現地は天橋立の北方約5km、宮津市波見川流域の丘陵地。当初は丹後リゾート構想の中核として大規模都市公園が計画されたが、バブル崩壊を機に1997年、環境共生型府営公園へと計画変更。これに伴い京都府は「手づくりエコトピア」を目指すソフトの機軸として地球デザインスクール事業をスタート、廃校となった旧小学校分校を活動拠点に手づくり風車教室や自然素材建築、自然農法などの体験・実験教室を開催してきた。2002年には「NPO法人地球デザインスクール」が発足、現在はNPOが事業を受け継ぐかたちで運営にあたっている。

  地球デザインスクールは、参加体験型自然環境学習の場であり、アートと遊びを通じた五感体験の場、手づくりによる中間環境技術の試行・開発の場でもある。スクールの取り組みについて説明したNPO職員・豊田玲子さんは「参加するのは都市や地域の住民。参加することで自然から学ぶ地球人になってもらえればいいなと期待している。こうした活動の中から、真に必要なハード面も生まれるのではないか」と話していた。

  同スクールではこれまでに実験や体験学習を含めたさまざまな取り組みをしてきた。例えば、エコ素材とセルフビルドを追求した「土のテーブル」づくりや「土の建築」づくり、自然エネルギー系の教室では「手づくり風車」づくり、雑木林の基本技術として手づくりの「炭焼き釜」なども実施した。公園予定地の谷沿いはほとんどが湿地であることから、多様な生態系を復活させることを視野に入れた「湿地の教室」を実施。乗り物系では山の中を散策できる簡易のモノレール装置「森のET」(乗り物はアシスト自転車を改造)をつくった。今年には手づくり機関車を製作、レールを敷いて実際に走らせる試みもしている。今のところ電気機関車だが、将来的にはバイオディーゼルによる機関車をつくりたいという。

  府営公園予定地では、京都府が道路整備やこども自然の森(仮称)、風の砦・大地の天文台、セミナーハウスなど府民参加拠点としてのハード面の整備を進めており、その後の手づくり整備を前提に来年春には一部オープンする。ここでは地球デザインスクール事業のこれまでの成果を踏まえ、循環共生型生活のモデル空間になる予定という。 

地球デザインスクール 主な教室実績
自然観察 豊かな自然の調査・保全活動や自然を楽しく観察するための基地・乗り物づくり
赤とんぼ園づくり、森の観察用樹冠デッキ、森のモノレール・ET、水辺調査隊、イネ倶楽部、湿地のビオトープ、四季の講座、ツリーハウスづくりなど
循環社会 汚水処理から、土や竹、貝石灰など自然素材の建築やものづくり、自然農法など
空き缶トイレ。 土のテーブル、泥風呂、土の建築、貝の石灰窯、石のパン窯、竹の大屋根など。 開墾しながら有機農業を学ぶ、ぐうたら農学校
エネルギ| 風力や生物エネルギー利用から、乗り物づくりや炭焼きまで
土の炭窯づくり、ドラム缶炭焼き窯づくり、てづくり電気自動車、風の教室、ペットボトル温水器、てづくり森林鉄道、バイオディーゼル、雑木林の教室、木質バイオマス発電など
地域文化 丹後の海の文化、山の文化を学び、伝える
定置網体験、川に流れる教室、シーカヤック、波見フェスタの開催、地域実習生、柿渋づくり、古民家再生・保存、里山の再生など

(文と写真・大戸修二)


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