神戸の2地区でFW

「まちを視る」分科会

 「まちを視る」の第2回目のフィールドワークが6月3日(土)に行われました。当初は雨の心配もありましたが、当日は晴天のなか、16名の参加がありました。

 最初に訪れたのは都市再生機構が神戸市からゴルフ場を譲り受けて開発を行った「ガーデンシティ舞多聞」(http://www.maitamon.jp/)です。

 市営地下鉄「学園都市」駅からバスで約5分行くと、右手に見えてきた巨大な施設が、舞多聞の商業施設である家電店舗と総合ショッピングセンターでした。事業の経緯は平成7年1月の阪神・淡路大震災後に、神戸市が復興資金捻出のため機構に開発要請を行い、翌年、当該舞子ゴルフ場を閉鎖し、平成13年都市計画決定の告示を行い、平成14年8月に施行規定及び事業計画の認可を受け、変更認可を経て、着手したものです。

◆新・郊外居住実現へ「ガーデンシティ舞多聞」

 地区面積は約108.4ha、事業期間は平成14年〜平成27年、計画人口約8,400人、計画戸数2,600戸、公園・緑地は12.5haで全体の11.5%を占め、その他の施設として小学校、幼稚園、商業施設、公益施設として福祉・利便・情報センター等を計画しています。

 機構では「新・郊外居住」を実現するために、ゴルフ場跡の緑と水と起伏のある地形を活かしたまちづくりを目指し、まちに対するニーズの多様化に対し、従来の大量供給のための最大公約数的なまちづくりから、1%のニーズそれぞれに応えるまちづくりの転換を目指しました。そのために機構(旧都市公団)がこれまでに培ったまちづくりのノウハウを活用し、これまでに手がけた開発の事例から、自主管理やコーポラティブ等の7つの提案を行いました。

 特に今回造成工事が完了し見学したのが「舞多聞みついけプロジェクト」で、日本の「新・田園都市」を目指し、ロンドン郊外にあるレッチワースを手本に、近隣の神戸芸術工科大学の齊木教授の提言のもと、行政の協力や民間事業者等のサポートを受け、これから住まわれる住民とまちづくりのルールや街並み計画、住まい方についてワークショップを通じ、旧ゴルフ場の現況地形を活かした自然住宅地をつくり上げています。敷地面積は約400〜1,600uですが、有効敷地面積はその5分の1程度のものや、間口が約3.8mのものや、いかにもゴルフ場のOBゾーンをそのまま残した急傾斜地の緑地のあるものもあり、固定資産税を考えると定期借地方式により成り立つと思われ、また、今後の緑地管理についても懸念されましたが、緑豊かなゆとりのある街並みでした。

 このまちはこれから開発が進んでいきますが、地域コミュニティも含め、5年後、10年後のこのまちを見てみたいと思いました。

◆クリエイターの活動施設「TEN×TEN」

 「舞多聞」を後にして、次に向かったのは「神戸波止場町TEN×TEN(テンテン)」(http://www.k-anchor.org/tenten/about_tenten.htm)です。JRで元町駅まで移動、駅から徒歩約10分で「TEN×TEN」に到着しました。

 「TEN×TEN」は、NPO法人神戸グランドアンカーが、神戸市中央区波止場町にある神戸市国産1、2号上屋文化交流施設整備・運営事業者として神戸市から選定されたことによりスタートしました。プロジェクトは「神戸市国産上屋1号,2号棟」を活用して誕生させる《クリエイター100人による活動施設》「波止場町TEN×TEN」として結実。2006年2月23日にオープンしました。

 施設内は元倉庫ということもあり、天井も高く、かなりの広さがあり、クリエイターブースのほかギャラリー、壁画ホールなどの多目的スペースなどもあり、外観とは異なりアートなイメージでした。 参加者一行は、「神戸グランドアンカー」の村上理事長のお出迎えを受け、「土間ホール」に通していただき、まずは理事長自ら話題提供をいただきました。

 村上理事長は、約30年間メディアの一線でご活躍をされるかたわら、地域のまちづくりも手掛けられ、「洋菓子KOBE展」を15回にわたりプロデュース、全国に《洋菓子のまち神戸》をアピールされるなど、各方面でも多大な功績を残されています。

 話題提供の内容は、「神戸グランドアンカー」設立の経緯、「KOBEみなとの絵大賞」「こうべ海のクリスマス」等の各種イベントの企画・実施、「TEN×TEN」オープンまでの経緯、事業運営のコツ、全国都市再生モデル調査の実施、行政(国・市)との関わり方など、非常に多岐にわたるもので、みなとまち神戸の再生にかける村上理事長の熱い想いと流暢なお話しに参加者一行も圧倒され気味(?)、話題提供の後、活発な意見交換もあり大変有意義な内容であったと思います。

 話題提供の内容の中では、ハード(拠点)の大切さ(ソフトとの一体化)を強調されていたこと、成功のカギはクリエイター募集を地元優先ではなくグローバル化(近畿を中心、海外も)をしたことなど、また、意見交換の中では、大八木事務局長との二人三脚(役割分担)、周辺施設(メリケンパークやハーバーランドなど)との連携、各種イベントの実施にまつわる話題などが印象に残りました。今後も、「みなとまち神戸」の再生に向け、村上理事長、大八木事務局長をはじめとする「NPO法人神戸グランドアンカー」とクリエイターの益々の活躍が期待されるところです。

 FW終了後、恒例の懇親会をJR元町駅前の某居酒屋で行いました。残念ながら、話題提供者の方にはご参加いただけなかったのですが、久しぶりのFWということもあり、FWの感想等々メンバーの会話も弾み、宴たけなわのなか解散となりました。

 「まちを視る」分科会は、いろいろな視点でまちを見て歩こう!をモットーに今後も開催していきたいと思っていますので、興味のある方はぜひご参加下さい。今回のFW議事録は後日HP等で公開いたします。

(「まちを視る」分科会/神戸FW担当主査 茂福・梶)


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