ペンリレー

近況概観

南海電鉄 山部 茂

●引越し4回

 私事ですが昨年の4月以降、今年の3月末までに4回の引越しをしました。この間、ほとんどの土日・休日は、荷物の整理から不用品の廃棄、自分で持ち込める小さなものの運搬作業、はたまた植木の植え替えや倉庫の移転など、その時々に発生する様々な雑用に費やされました。さらには老親の入院が2回、退院後は介護保険の認定の手続きや、老人ホームめぐりまで付き合わされ、他方妻からは住宅メーカーとの折衝にも駆り出され(これは言いすぎかな)、数年分の労働に従事することとなりました。ちなみに、2人の子供もW受験で家の中はひっくりかえった状況の連続でした。

●介護保険

 介護保険制度は平成12年から始まりましたが、今までは支払い側オンリー、一昨年の末の交通事故がきっかけで、急に母親の容態が悪化するまでは全く無縁の存在でした。背骨の圧迫骨折の連続で、一人で家事をするのが困難になり毎週病院通い。今までは楽しみにしていた庭仕事や広い家の掃除が逆に重荷になって、休みごとに草刈や庭の手入れに呼び出される始末。運転手兼作男で買い物や夕食作りまでが私の休日の日課となりました。ウィークデーは介護保険のおかげで助かりました。要介護2ながら家事介護の週に2回は助かります。

●マンション購入

 駅前に大きなマンションが出来ました。ショッピングセンターもすぐ近くで、すぐに売りきれとなりました。まだ入院前の元気なときにモデルルームを冷やかしに行くと、老人用のバリアフリー対応の部屋があるそうな。大変気に入った様子なので仮予約をして、ほっておきましたが、どうしましょうかと催促の電話がかかってきました。本人は老人ホームに行くと言ってきかず、毎週ホームめぐりに付き合わされましたが、結局気に入ったところがなく、マンションを購入することに決めました。

●引越し1回目

 老人一人のマンション生活ですし、自宅も残したままですので、必要なものだけもって行けばよいとして、ほとんど身一つで引越しをさせました。ところが老人の世帯でもあれがいるこれがいるとのご託宣で、結局はかなりの道具を持ち込みました。引越し後は元気になったのはよいが、ある日の夕方に立ち寄って見ると、朝からひっくり返って動けなくなっています。すだれを吊ろうとして足場から落ち、腰の骨を折っています。救急車で病院へ緊急入院(2回目)です。

●引越し2回目

 年寄りの入院や引越しとは別に、我が家ではシロアリによる被害で老朽化し、耐震性能に問題ある家の建て替え計画が妻の主導で着々と進んでいます。
最初に庭に建設されていた物置(車が2台入るガレージです)が槍玉にあげられました。10数年前に岡山の田舎の家を始末した時に持ち込んだガラクタが詰まっています。定年後の楽しみにとっておいた古文書や古道具が入っていますが、親の家の屋根裏部屋と同じく親の家の庭に移設したガレージへ引越しをしました。これは人には頼めませんので大きなものは除き、一人で引越しをしました。

●引越し3回目・4回目

 これは、ご想像どおり仮住まいへの引越しと、新築した我が家への引越しです。乱雑に植えた庭の植木の移植や、結婚後に貯まったガラクタの類を随分始末しました。妻の好みで家は洋風になり子供部屋がはじめて与えられ、家庭内LANが整備されましたので、携帯電話のメールと各自保有のパソコンによる会話が主体となりました。

●山下り族

 この言葉をご存知の方はいらっしゃいますでしょうか。一戸建ての郊外の住宅を捨てて都心や駅前のマンションに移り住む老人世帯を言うそうです。阪神間の住宅地で顕著らしいのですが、結果的に母親がそうなりました。地域にある自分のコミュニティーはそのままで、便利でセキュリティー環境の整った駅前マンションに移り住む老人が増えています。彼女の友人も買い物帰りの休憩場所にちゃっかり利用しています。マンション業者もトラブル回避のため、縦のラインは老人世帯用にバリアフリー仕様で販売しているため、老人世帯同士のコミュニティーが建物内でできてきているようです。小さいながらの庭もあって、今はようやく機嫌良く暮らしています。
私? ちゃっかりと「男の隠れ家」を一室確保しました。駅前に駐車場・駐輪場付で自宅とLANで結び、親の様子を時折覗きながら使っています。


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