次世代のNPO法人に向かって

組織の確立・安定と新しい課題への取組

地域デザイン研究会 副理事長 柳田保男

 地域デザイン研究会がNPO一体化となってから約2年が過ぎた。会員のみなさまには十分に認識されていると思うが、NPO法人とは、特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)に基づく、不特定多数の利益の増進に寄与することを目的とし、営利を目的としない17の活動を行う法人とされている。そして、財政を始め、新しいゆえの課題を多く抱えており、次世代へ向かっての道は極めて険しい。

 すなわち、ここ1年余の間に指摘されている課題は、次のようである。

 @NPO(民間非営利組織)に関する世論調査(資料1):NPOに関する国民の意識を調査し、今後の施策の参考とする一を目的としたもので、1)周知度と期待から7)行政に対する要望の7項目となっているが、信頼については信頼できるが6.5%・おおむね信頼できるが24.0%、活動のいっそうの活発化については国や地方公共団体が情報提供を充実するが47.6%、などとなっている。

 A公益法人改革3法案(資料2):1)公益認定等委員会による公益性の判断、2)NPO法人の現行制度維持、3)公益性を認める20事業(学術振興から消費者利益の擁護・増進まで)、4)民法34条の削除(NPO法の一本化)、などとなっている。

 BNPO法人に対する指摘:1)市民による緩やか監視が必要、2)原則課税の方向への認識、3)脱「政下請け(委託)」が重要、4)市民ベースの資金調達の発想も必要、5)中間支援組織の増が必要、などとなっている。

 いずれにしても、ここ3〜5年の間に次世代のNPO法人へ向かっての改革をしなければならないことは明らかである。

 地域デザイン研究会は、当初、世代や組織を超えて横断的(縦割りを排除し多様的に)という思想のもとに発足し、侃々房々(かんかんがくがく)の議論を重ねてきたと思っている。

 東西冷戦の終結・バブル崩壊、そして景気低迷の時代でもあったが、今は、いわゆる景気回復の時代であるとともに新しい課題解決の方法を探り提言する時代でもある。法人としての組織の確立・安定が最低条件であることを再認識していただくと同時に、新しい課題(古くて新しい課題の再整理を含む)に取り組む体制づくりを始めることが不可欠であると考えるものであり、次世代の会員に大いに期待する(せざるを得ない?)ものである。

 限られた字数の中では、NPO法人のあり方に偏り、新しい課題については触れていないに等しくなった。その点はご容赦を願いたい。

  参考文献資料
1)内閣府大臣官房政府広報室:“NPO(民間非営利組織)に関する世論調査(要約)、2005.10、11p、http://www.cao.go.jp/
2)行政改革推進本部事務局:“公益法人の改革についで、2006.6、3p、http://www.gyoukaku.go.jp/


HOME   潮騒目次

inserted by FC2 system