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ひとりっ子政策

 阪神コンサルタンツ 奥谷良治

 皆さん、初めまして。7月に入会しました奥谷と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私の妻は中国人であり、妻とは中国で知り合い、中国で結婚しました。当時(20年ぐらい前)、私が中国について知らなかったこと、びっくりしたことを述べさせていただきます。

●男女が同部屋に泊まるには結婚証明書が必要

 私が妻と同じ部屋を予約しようとすると、妻は警察官に連行されるからダメだといいました。中国では、男女がホテルの同部屋にいるには、結婚証明書が必要であるとそのとき、初めて知りました。中国では普通のホテルでも、男女が部屋でいかがわしいことをしていないかどうか、警察官が巡回し、監視しています。妻曰く「連行されると、釈放されるのに、高額の罰金を払わなければならない。しかし、連行する警察官に三千円くらい(当時の三千円は大金です。)渡せば大目に見てくれるかもしれない」と言う。何とも、中国らしいなぁ〜と思いました。やむなく、部屋を2つとりましたが、非常に高額の部屋でした。中国では、外国人には安い部屋が空いていても、高額の部屋しかないと言うこともあるので気をつける必要があります。

●結婚するには身体検査証明書が必要

 中国での結婚手続きはとても面倒です。日本のように、婚姻届を市役所へ提出すればそれで終わりとはいきません。中国では、結婚手続き前に必ず身体検査をしなくてはなりません。性病等の病気がないか、妊娠していないかどうかを調べるのです。未婚女性が妊娠していることは、ひとりっ子政策に反するのです。ですから、中国では「できちゃった結婚」はないのです。身体検査は、私と妻がすぐ横で同時に行われました。下半身を調べるのです。ここでは詳しいことは書けませんが、なぜ、ここまでされなくてはならないのか、人権を無視したようなこの検査に、非常に腹が立ちました。検査結果に問題がなく、婚姻届に不備がなければ、それぞれに結婚証明書と夫婦生活の仕方、避妊方法などが書かれた厚さ1cmぐらいの結婚手引書を渡されます。これで、やっと法律上の夫婦となります。

●徹底したひとりっ子政策

 中国は全56種類の多民族国家であり、人口は約13億人といわれます。ひとりっ子政策は少数民族に対しては、ある程度緩和されているようではありますが、70数%もいる漢民族は一人しか産めません。二人目を産むと高額の罰金を支払わなければなりません(双子等の多胎児はOKです)。中国でも家長制度の中で、跡継ぎとなる男の子をほしがる夫婦がほとんどです。妻は漢民族でありますが、男の子を二人産みました。なんと、双子だったのです。妻が子供を連れて里帰りしたときは、周りの近所からとてもうらやましがられます。妻は最初から双子だったため、日本人と結婚して二人の子供をもてたという恩恵は感じていないようです。 中国政府は徹底したひとりっ子政策をとっており、出産するとすぐ避妊手術を勧めます。政府担当者は街で子供と一緒にいる女性を見ると、寄って行き、避妊手術をしているか否かをたずねます。避妊手術をしていなければ、半ば、強制的に病院へ連れて行くようです。また、薬局で避妊具を売っているのは日本と同じなのですが、中国では「○○のおもちゃ」が普通の薬局で売っています。これには、さすがにびっくりしました。 しかし、この制度は香港やマカオでは適用されません。中には香港へ行って二人目を産む夫婦もいます(香港に親戚のいない一般の中国人は入国不可能)。当然、妊娠していることを隠して入国するわけで、妊婦が簡単に入国できないように香港政府は常に厳しく監視しています。また、田舎では、二人目が産まれたことを隠している場合もあり、統計に表れない戸籍のない人も結構いるようです。

 以上の話は、あくまでも新婚当時の昔のことであり、改革・開放政策が浸透している現在もそうであるか否かはわかりませんので、誤解のないように付け加えておきます。


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