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街づくりに関する取り組み

エヌ・ティ・ティ・インフラネット株式会社

関西支店 音泉 勝昭

 近年、様々な自然災害や事故により甚大な被害が発生しており、安全・安心に暮らせる街づくりがより一層強く求められています。同時に、人口が減少し経済が低迷した地域を、活力のある街に再生することも課題になっています。私たちは、NTTの通信事業において、主に通信用地下設備の構築・保守等の役割を担うと共に、情報通信インフラ関連事業を通して、社会インフラの分野にも広く事業を展開しています。そこで、NTTとしての通信事業および社会インフラの担い手として培ったノウハウ・技術を活用した、「災害に強い街づくり」、「活力ある街づくり」への貢献について、当社の取り組みを紹介します。

1.災害に強い街づくり

(1)電線類の地中化

 電線類の地中化は、通信線や電力線の架空電線類を地下に収容することにより、路上空間を安全で快適なものにし、良好な住環境づくりに貢献します。(図−1)

 また、災害時においては、電柱の倒壊や架空電線類が火災消火や救援活動、避難の妨げとなる事が見受けられることから、電線類の地中化を行うことにより、円滑な救援活動や避難の際の交通路を確保します。更に、地下空間は環境的に安定しているので、被災時にもダメージを受けることが少なく、電話などの通信線や電力線の耐災害性を高めることにもなります。


図−1 電線類地中化事業の例

設備形態イメージ管路部の構成の説明図
図−2 共用FA方式のイメージ図

広域監視モデル
図−3 光ファイバを用いたモニタリングのイメージ図


図−4 まちかど案内情報発信端末

 私たちは、1本の管路(単管)に複数のケーブルを敷設し、任意の位置でケーブルを分岐させることができる技術(共用FA方式)により、今まで地中化が難しかった狭い歩道や歩道のない道路においても、低コストな電線類の地中化の実現をサポートします。(図−2)

(2)光ファイバを用いたモニタリング技術

 通信に用いている光ファイバは、その物理的特性を利用することにより、ひずみ、破断、温度を測定できるセンサとしても機能します。特長として、多点の計測を1本の光ファイバで実現する、計測地点に電源が不要である、落雷・迷走電流の影響がない、耐腐食性が高いことなどが挙げられます。これにより、橋梁、トンネル等の各種構造物、斜面などの変位監視を効率的に行うとともに、被災状況の把握を行い、災害を未然に防ぎます。また、災害時の被害拡大を最小限に抑え、安全・安心の社会づくりに貢献します。(図−3)

2.活力ある街づくり

(1)ITを活用した観光まちづくり

 観光産業の衰退を再生し、地域資源を活かした個性的で特色のある街づくりが求められています。そこで、ITを活用し、地域の様々な交流活動情報や観光資源案内などを市民や観光客に“わかりやすく”紹介する「まちかど案内情報発信システム」に取り組んでいます。これは、街の様々なイベント情報や生活情報などを簡単に入手することが可能で、行政・民間企業やNPOなどがタイムリーに情報発信し、また旅行者が手ぶらで観光もできる便利で、扱いやすい観光地向けのシステムです。(図−4)

 このように総合的な案内情報を発信することにより、観光振興や市民活動の活性化を図り、交流人口の拡大・地域経済の再生に貢献することができます。

(2)デジタルデバイドの解消

 総務省では、2010年までには、全国にブロードバンド環境を普及させるという目標を立てています。また、地上アナログ放送も2011年までに、地上デジタル放送に全面的に切り替える目標を立てています。こうしたデジタル放送とブロードバンド通信の普及には、光ファイバを使った方式で整備が進んできていますが、山間部や離島では、環境条件の厳しさから、光ファイバの構築に著しくコストがかかってしまうといった条件不利地域が多数存在し、課題となっていました。

 そこで、当社と京セラコミュニケーションシステム株式会社及び古河電気工業株式会社の3社は、地上デジタル放送信号を光ファイバと無線中継システムを用いてシームレスに伝送できる中継・配信システム(18/19GHz帯 FRC Wireless Link System)の実用化に向けた実験を岐阜県下呂市において実施しました。この実験により、光ファイバで伝送された地上デジタル放送信号を光ファイバの敷設が困難な地域や伝送区間でも、高品質のまま無線を使って中継・配信できることを確認しました。

 デジタルデバイド解消に向けた取り組みは地方自治体でも行われていますが、山間部や離島ではコスト的な理由から光ファイバの敷設が困難という地域が多く存在します。それら条件不利地域における地上デジタル放送視聴の問題解決手段の一つとして、本システムを利用することにより、デジタルデバイド解消の一翼を担うことができると考えています。

3.おわりに

 以上、当社の街づくりに対する取り組みの一部を紹介しましたが、今後とも情報通信産業の責任ある担い手の一員として、行政が進める社会インフラの充実・高度化事業を通じて、安全・安心で豊かな社会の実現に貢献していきたいと考えています。


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