巻頭言

情報発信のこと

地域デザイン研究会事務局長 鎌田徹

 2008年度通常総会で議決された事業計画の中で、地域デザイン研究会活性化方針として、「発信を合言葉に、世間に認められる組織を目指す」があります。発信する内容の充実が第一ですが、その発信手法として、本などの出版のほか、Webによる発信の重要性は大きいと言えます。その中でもブログによる情報発信は、@発信者の本音と受け取られることA迅速性−において優れた効果を発揮すると思います。ただし、適切な頻度で発信することが必要です。

 ブログといえば、「夕張への手紙」(※1)の著者、ナタリア・ロシナの「ライフスタイル・健康・仕事の意識改革で刺激になるナタリア辛目ブログ」というのがあります。最近の書き込みから拾った例では、「10年後喫茶店をやりたい、これが夢」と言ったサラリーマンに、「今すぐやれば、こういう方法があるのではないですか?」と返せば、1週間あとに「会社内でコーヒーを入れるようになった」との書き込みがあったそうです。

 「夢」は持たないより持つ方が断然いいし、持ったなら即実行へと行動を開始すること、これが大事だと思います。組織内の集団思考に陥り、自分の夢を持たずにいる、あるいは持っても遠い先のことで、実行できないでいることが多いのではないかと思います。自分の本当にやりたいことはこれだ、とういうことに、いつ気付くかです。先日の総会で茶呑幸治氏が言っていたこと、定年を迎えて「さて何をやろうか」ということにならないようにしたいものです。

 「夕張への手紙」で、破綻した夕張市を救うポイントは、@本物、プロの仕事 A即実行 ITの活用C本物、ITのための教育−とその重要性を指摘しています。もちろん役所だけでなく、企業、市民全体の話。ここでいうITとは、ネットでの発進力を言っています。

 インターネット浸透率(なんらかのインターネッ卜を利用している人がいる世帯数の割合)は、2007年3月現在で83.3%。(※2)人は、気になる企業の概要を知ろうとするとき、まずその企業のホームベージに行ってみるのが通常のパターンだと思います。

 大阪府は、今までの常識をゼロベースで見直して、橋下知事のりーダーシップのもと、職員も意欲を持って対応し、公開の場で徹底した討論を行い、その上で知事自身が決断し提案までもっていっています。この過程で、メディアに公開しているほかに、1週間に一度送られてくるメールマガジン「維新通信」による情報発信があります。そこでは、橋下知事が行おうとしていること、その意図が直接語られています。

 土木学会関西支部のFCCでも最近ブログを開設しています。1週間に一度ぐらいの書き込みがあり、内容もなかなか親しめるものとなっています。1日40〜50ぐらいのアクセスがあります。

 ネットを使っての情報発信の有効性について述べてきましたが、もちろんこれは手段であって、内容が肝心なことは言うまでもありません。地デ研では現地シンポジウムや、フォーラム、各分科会など中身の濃い活動を行っています。それらをまとめること、そしてそれを発信することが重要ですが、それまででも、参加した会員個人が感想などをブログに気軽にアップする、あるいは日頃街を歩いていて感じたことなどをアッブしていけば、地デ研の活動の様子が伝えられ、「私も参加してみようか」と思う人も出てくることが期待されるのではないでしょうか。近く地デ研のブログもリニューアルされますので、情報発信に大いに参加されることを期待します。

※1)「夕張への手紙」日経BP社、ナタリア・ロシナ、2007年12月17日

※2)「インターネット白書2007」記者発表資料2007年6月13日株式会社インプレスR&D


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