私の一冊

落語的生活ことはじめ
大阪下町・昭和十年体験記

くまざわ あかね(落語作家)著
(平凡社・1,470円)

推薦者:前川晃三

 実際に体験してみよう。そういう体験記のひとつ。体験の内容は、1カ月間、昭和10年の生活をするというもの。生活の舞台に選ばれたのは、大阪谷町の空堀商店街の辺り。和服を着て、まちを歩くとどのような反応があるのか。和服を着る生活と針仕事。カンテキの魅力。

 電気が普及しはじめ、ガス灯から電灯へ変化するなど生活が便利になりはじめた昭和10年。それでいて、落語の世界の長屋や火鉢や近所付き合いが残っている昭和10年ということらしい。

 便利なものが増えると、生活を豊かにする時間が増えるはずなのです。ところが、便利なものを前にすると、あれもこれもと欲が出てしまい、時間が不足して忙しくなってしまうということも。

生活を豊かにする時間とは、何だろうかと考える時間をくれました。


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