「地域遺伝子」発掘による地域づくり調査

     〜21年度調査が完了〜

事務局 鎌田 徹


遺伝子関連地図の例(明治18年の地形図、集落と道路)
この地図を現在の地形図に重ね合わすことにより、地域遺伝子を浮かび上がらせることが出来る。

 平成21年度の大阪府北河内地域における「地域遺伝子」発掘による地域づくり調査(その2)が完了した。同調査は近畿建設協会の支援を得て20年度から開始したもので、初年度は枚方市域で実施、21年度は枚方市を除く北河内6市を対象に調査を進めた。20年度は手探りであったが、基礎的な資料収集の方法および地域遺伝子を表現し、一般に広める手順の一部を明らかにした。

 平成21年度は、

 ▽地域遺伝子関連地図を完成する

 ▽都市空間の成立と現在の都市空間を評価する

 ▽街に出て地域遺伝子を実感する

 ▽商店街や古くから街の成り立ちを知るため地元の古老や住民と懇談する

ことに重点を置くとともに、北河内全域を対象として調査することとした。重点化と広域化が狙いである。地域遺伝子が都市計画や地域計画、あるいはまちづくりにどのように活用できるかは現在取りかかったところであり、すぐには結論を得るのは難しい。しかし遺伝子発掘の道具(ツール)を用意することと、多くの人たちに理解してもらうこと、その両面からアプローチすれば一つの重要な計画要素として定着できるものと考える。

<調査の実施内容>

 実施内容は、

@文献収集・参考資料による調査A地域遺伝子関連地図の作成

Bフィールドワーク

C座談会・意見交換会の実施

などで、「地域遺伝子関連地図の作成」では、国土地理院発行地形図の上に、地域遺伝子を書き込み遺伝子地図を作った。(活用した地形図は、明治18年(陸側部)=2万分の1、大正11・12年、昭和22年、昭和47年、平成18年=2万5千分の1。地図を補足するための航空写真=昭和36年)

<成果>

  1. 地域遺伝子を発掘する方法として遺伝子地図が有効であることが確信できた。
  2. そのことは地元の皆さんとの意見交換会でも非常に好評で、地図を一瞥することで一挙に過去の記憶を呼び起こせる有効なツールであることが実証された。
  3. まちづくりや都市計画の分野では、都市成立の核である「旧集落」を分析することで新たなまちづくりや施設のあり方を明らかにすることができる。
  4. 「路地」「神社仏閣の境内」「旧街道」「民話・昔話」の重要性を表現できた。

 このような地域遺伝子発掘の試みを北河内地域以外に広めていくことは、まちづくりNPOとしての一つの使命であり、機会あるごとに本成果をPRしていきたい。

<22年度も支援応募>

 これらの成果を生かすため、平成22年度も「地域遺伝子を活かした『まちづくりマップ』の作成」ということで、近畿建設協会に支援を応募している。「まちづくりマップ」作成をもって地域遺伝子調査の最終成果と考えているが、地域遺伝子の一連の調査は、都市計画基礎調査を補完し、住民・市民との連携を図る有力なツールとなると考える。採択されれば、会員のみなさんの参加を呼びかけることになると思いますので、よろしくご支援をお願いします。


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